【東京五輪 社会学】昭和大病院感染症内科・二木芳人特任教授、パンデミック起これば日本終息でも…コロナ影響で東京五輪は

昭和大病院感染症内科・二木芳人特任教授
昭和大病院感染症内科・二木芳人特任教授

 新型コロナウイルスの感染拡大が終息の気配を見せないまま3月を迎えた。国内では多くの娯楽施設やイベントが中止や規模縮小を余儀なくされている。7月24日に開幕する東京五輪、8月25日に始まるパラリンピックには約200の国と地域が参加するが、国際オリンピック委員会(IOC)の理事が開催条件について言及するなど波紋を広げている。感染症の専門家に今後の見通しなどを聞いた。(久保 阿礼、奥津 友希乃)

 7月に開幕する東京五輪、8月に始まるパラリンピックの開催はかなり難しい状況にある、と考えています。

 国内では現在、小中高の一斉休校、スポーツや音楽ライブなど大規模イベントの自粛をしている最中。うまくいけば、5月中には終息の見通しが立つかもしれません。

 ただ、いったん、世界的な流行、例えばパンデミックが始まると、他の国も日本と足並みをそろえ、同時に終息していくことはないでしょう。新型コロナウイルスの感染力を踏まえれば、日本で夏前に終息できたとしても、他の地域で流行が継続、拡大するという可能性も十分あります。

 五輪・パラリンピックには、各国・地域から数万人の関係者や多くの観光客が来日します。当然、再度感染拡大のリスクがある。開催可否についてはIOCなどの判断になりますが、日本が感染防御の対策をしたとしても、世界の状況によっては「開催できる」と自信を持って言える状況になるかどうかは疑問です。

 政府が言う「ここ1~2週間が瀬戸際」という意味は、「ここをしのいで我慢すれば、感染拡大が終わる」という意味ではありません。今後も常に感染者の状況などを見ながら「防御のガード」を上げる必要が出てくるかもしれない。

 インフルエンザ治療薬の「アビガン」などが新型コロナウイルスに使える可能性があるとして、臨床試験も始まっています。より広く検査が行われ、ウイルスの実態が見え始めれば、少し社会情勢も落ち着いてくると思います。

 ただ、新薬・ワクチンともに一般的に使用できるようになるには、1~2年の単位では無理でしょう。今は、感染拡大防止を第一優先に行動していく必要があります。

 ◆東京五輪を巡る動きと関係者の発言

 ▼2月25日 IOCパウンド委員がAP通信に開催是非の期限を「遅くとも5月下旬」とし、「事態収束が見込めない場合はおそらく中止を検討する」と発言。1年延期の可能性も示した

 ▼同26日 橋本聖子五輪相は「IOCの公式見解ではない」と火消し

 ▼同27日 調整委員会のコーツ委員長が豪地元紙に「3か月以内に判断」

 ▼3月3日 

 ・IOCが緊急声明で予定通りの実施を強調し、バッハ会長は「成功に変わらぬ自信を持っている」

 ・橋本五輪相は開催都市契約について「20年中であれば延期できると取れる」

 ▼同4日 

 ・IOCバッハ会長が理事会で「7月24日開会を確信している」

 ・WHOテドロス事務局長は「今決めるのは時期尚早で状況を見守るべき」

 ・森喜朗組織委会長は「中止は全く考えていない」

 ▼同6日 組織委がアテネでの聖火引継ぎ式への子どもの派遣見送りを決定も、森会長は延期可能性について「あり得ない」

 ◆東京五輪・パラリンピック 五輪は7月24日~8月9日に開催。約200の国と地域から選手約1万1000人が参加し、33競技339種目を行う。パラリンピックは8月25日~9月6日に約4400人が22競技540種目を行う。会場は東京、神奈川、千葉などの首都圏が中心。過去の五輪では大会後も観光客が年間数百万人以上増加するケースもある。大会の経済波及効果は3兆円以上とする一方、中止の場合は7.6兆円の損失が生じるとの試算もある。

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