「見えない敵」新型コロナウイルスとどう向き合うか

 「今後1年で世界中で40~70%の人々が新型コロナウイルスに感染する」、「多くは軽症か無症状」―。 米時事雑誌「アトランティック」の記事で、公衆衛生を専門とするハーバード大教授が新型コロナウイルスの拡大について見通しを語っている。インフルエンザに感染した場合でも約14%が自覚症状がないというが、記事では「新型コロナウイルスは新たな季節性感染症になるだろう。風邪、インフルエンザ、新型肺炎が加わる」としている。

 既存の薬でも効果がある可能性があるものの、新薬やワクチンが市場に出回るまで1年半以上先になるとみられている。街のスーパーでは、マスクが店先からなくなった恐怖からか、トイレットペーパーなど日用品の買い占めが続く。ネット上のデマが原因とみられ、社会的な混乱がみられる。

 だが、デマが拡散する一方で、ソーシャルメディアにおいて行われる感染症専門家による貴重な情報発信が多くの人の「精神安定剤」になっていることも事実だ。

 神戸大の岩田健太郎教授(感染症)は専門家として多くの著作があり、2009年の新型インフルエンザでも最前線で対応に当たった。集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の実態を動画で投稿したことについて「そうせざる得なかったですし、できれば、そういうことはしたくなかった」と苦渋の決断だったことを明かしている。

 動画での“告発”は驚いたが、「医師は時に目の前にある危機に、組織を超えて行動することがある」ことを実感させる出来事だった。ほかの専門家も主にツイッターで有益な情報を発信している。これまで発売された感染症関連の書籍売り上げも好調という。

 感染症に関心を持った人々が自ら積極的に情報を収集し、考え、行動しているのではないか。普段接することのできないプロのアドバイスにネット上で触れられることは何より心強い。

 真偽不明の情報は必ず複数のソースを確認した上で、公的機関の出す情報に注意を払う必要がある。その上で「目に見えない敵」とどう向き合うか。今後の課題だ。(記者コラム)

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