◆オープン戦 オリックス1―0巨人(6日・京セラドーム大阪)
モタが深みにはまっている。5回先頭。1ボール2ストライクから、山岡のワンバウンドする外角スライダーにバットは空を切った。相手に「打ちたい」気持ちを見透かされた空振り三振。直後の5回の守備から試合を退いた。全試合出場を続けているオープン戦で、今季最短での交代だった。
涙の支配下登録を勝ち取ったモタが“1軍の壁”にぶち当たっている。3日の日本ハム戦(札幌D)の9回から、この日で8打席連続三振。公式戦ならば野手のセ・リーグタイ記録となっていた。交代を原監督に進言した元木ヘッドコーチは「モタのために(試合を)やってるわけじゃない。他の選手が『何であんなに三振して使ってもらえるの?』となっちゃう。それは俺は許さない」と断じた。実力至上主義だから、当然だ。
それでも、言いたい。三振を恐れて当てに行ってほしくない。フルスイングしないモタは、モタじゃない。
ある意味で新外国人選手のような立場であり、他チームも研究しただろう。現状は外の変化球攻めに苦しむ。「欠点があらわになることは決して悪いことじゃない。それを自覚して、対処していく」と原監督。研究されたならそれに対応して、上回る。それがプロだと言う。
外角の見極めを難しくしている原因は分かっている。左肩が早く開く悪癖だ。その解消のためにこの数日間、石井野手総合コーチと取り組むティー打撃では、体の前にボールを置き、打った瞬間、そこに視線を送る。頭を突っ込ませず、左肩で壁を作るためだ。この日の試合前練習でも、フリー打撃はノーステップで、体の開きを抑える意識を体に植え付けていた。
仕上がってきた他球団の主力級との対戦が続くが、このクラスを打たないと生き残れない。「切り替えて、頑張ります」。反骨心に燃えるその目を信じている。モタ、負けるな。(西村 茂展)