中邑真輔がラッシャー木村になる!? WWEで3対1ハンデ戦…金曜8時のプロレスコラム

ストローマン(左)に3人がかりで攻める中邑真輔(右)ら(C)2020 WWE, Inc. All Rights Reserved.
ストローマン(左)に3人がかりで攻める中邑真輔(右)ら(C)2020 WWE, Inc. All Rights Reserved.

 世界最大のプロレス団体WWEでは、4月5日(日本時間6日)にフロリダ州タンパのレイモンド・ジェームス・スタジアムで開催される年間最大の祭典である特番(PPV)「レッスルマニア36」に向けて、様々なストーリーを展開中だ。WWE王者、ブロック・レスナーは、「ロイヤル・ランブル」で優勝したドリュー・マッキンタイアの挑戦を受け、新ユニバーサル王者となったゴールドバーグは、ローマン・レインズとの防衛戦。王座を失った“ザ・フィーンド”ブレイ・ワイアットは、ジョン・シナとのシングルマッチが決まった。

 日本人スーパースターの中邑真輔(40)のカードはまだ決まっていない。保持していたインターコンチネンタル(IC)王座を奪われたブラウン・ストローマンとの抗争が続いており、「レッスルマニア36」でもIC王座にからみたいところだが、その前にとんでもない大一番を迎える。

 ペンシルベニア州フィラデルフィアのウェルズ・ファーゴ・センターで今月8日(日本時間9日)に行われるPPV「エリミネーション・チェンバー」で、中邑は、セザーロ&サミ・ゼインを引き連れ、ストローマンとの3対1のハンディキャップを行うことになったのだ。

 スマックダウンが、2月28日(日本時間29日)に米マサチューセッツ州ボストンのTDガーデンで開催され、中邑は、王者ストローマンとのIC王座戦の調印式に登場した。中邑とともに登場したゼインは「サイン前に契約内容を確認した方がいい」と中邑に伝え、ストローマンには「お前のせいで中邑は負傷して9針縫ったんだぞ」と非難。するとストローマンは「黙れ! どうせ3人を相手にすることになるんだから契約書の内容なんて気にしない」とサインした。この発言にゼインは「みんな聞いたな。3人と戦うって言ったよな」と念押した。そして中邑だけでなくゼインとセザーロも契約書にサインしてしまったのだ。

 これにより、3対1のハンディキャップ戦が、しかもIC王座戦として決まった。荒唐無稽のストーリーだが、これがWWEなのだ。

 さらにゼインは「お前はエリミネーション・チェンバーで負けることになる」と挑発。ストローマンは暴れ出したが、ゼインがヘルヴァキック、中邑がキンシャサを叩き込むと、最後は3人が連係したヘルヴァキックでテーブル葬にしてストローマンをKOした。

 この模様はWWEネットワークなどで日本にも流されたが、日本で3対1のハンディキャップ戦と言えば、今年、喜寿とデビュー60周年を迎えたアントニオ猪木(以下も敬称略)とラッシャー木村率いるはぐれ国際軍団(アニマル浜口&寺西勇)の因縁の対決ということになる。

 猪木イズムの遺伝子であるはずの中邑真輔が、孤軍奮闘するのではなく、3人の大将、ラッシャー木村の役目として3対1のハンディキャップ戦を行うという何とも言えない皮肉。

 負けても負けても反則の限りを尽くして攻めてくるはぐれ国際軍団に、猪木は「てめぇら、3人束になってかかってこい。このヤロー!」と言って本当に実現した逆鱗(げきりん)の変則マッチ。1982年11月4日、東京・蔵前国技館(閉館し両国に移転)でのことだった。

 当初は1対1を猪木が3試合行う勝ち抜き戦も提案されたが、結局は1対3で、負ければ退場するエリミネーション方式のタッグマッチになった。レフェリーは山本小鉄、サブレフェリーに柴田勝久、そしてレスラーながら急造レフェリーとなった栗栖正伸がついた。コーナーに控える2選手をサブレフェリーは場外で見張った。カットに入る浜口を小鉄がタックルするなど、レフェリーが猪木の分身のように活躍した。

 1本目は猪木は腕ひしぎ逆十字固めで寺西を仕留めた(13分3秒)。さらに2本目も猪木が浜口を延髄斬りでフォール(9分27秒、体固め)。

 最後は木村との一騎打ちとなったが、場外乱闘からリングに入ろうとした猪木に木村がラッシングラリアットを決め、猪木はロープに足をからませ宙づりとなり、無情のリングアウト負け(4分37秒)。

 この日は初代タイガーマスクVS小林邦昭のジュニア王座戦、藤波辰巳VS長州力の名勝負数え唄も組まれており、新日本プロレスの黄金時代を象徴する3大決戦だった。

 翌5日にテレビ朝日系「ワールドプロレスリング」で録画中継されたが、1時間番組で3試合は収録できず、3対1戦は録画中継ながら途中で切れて「来週のこの時間で」という異例の放送となった。途中で切れたものの視聴率は23・7パーセント(ビデオリサーチ調べ、関東)をたたき出した。翌12日の放送は21・5パーセント(同)だった。

 リマッチは翌1983年2月7日に蔵前国技館で行われ、猪木はいきなり木村にフォール勝ち(10分10秒、体固め)。2本目も寺西をコブラツイストで仕留めた(5分10秒)。そして3本目は浜口を場外でフェンスの外に投げ飛ばしてしまいフェンスアウトの反則負け(5分56秒)となってしまい、またしても勝利できず。2月11日に放送され、視聴率はこの年代では最高となる25・9パーセント(同)をマークした。

 ラッシャー木村のような武骨さはないが、WWEでヒールターンして、小狡(こずる)いキャラクターになっている中邑は、日本を熱狂させたあの3対1ハンデ戦のように全米を熱狂させることはできるだろうか。PPV「エリミネーション・チェンバー」は日本時間3月9日にWWEネットワーク(日本語実況版有り)でライブ配信される。日本公演「WWE Live Japan」(7月2日・エディオンアリーナ大阪、7月3、4日・横浜アリーナ)を前に、中邑はなりふり構わぬ王座奪取劇を見せることができるだろうか。(酒井 隆之)

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