なぜJクラブがビジネススクールを開校するのか?「育成のヴェルディ」をビジネス業界でも

ヴェルディカレッジの一期生(クラブ提供)
ヴェルディカレッジの一期生(クラブ提供)

 あるクラブの強化担当者から、「安心と信頼のヴェルディ産」という言葉を聞いたことがある。東京Vの下部組織出身選手は、確かな基礎技術と、遊び心を昇華させた豊富なアイデアを併せ持つ―。中島翔哉、安西幸輝、畠中槙之輔ら、日本代表にもヴェルディの血が流れる選手が増えてきている。

 そんな東京Vが、“ビジネスマン”の育成にも力を入れ始めた。昨年5月から今年1月の半年間、「ヴェルディカレッジ」と銘打たれたビジネススクールが開校された。スポーツ業界にとどまらず、将来的にビジネス分野での活躍を志す高校生~大学生の1期生33人が勉学に励んだ。なぜJリーグクラブがビジネススクールを展開するのか?スポーツ業界では異例の取り組みの背景に迫った。

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 チケットをもぎったり、ビラ配りをしたり…。スポーツ業界のインターンシップにありがちな、人手不足を一時的に補うための労働力確保が目的ではない。コンセプトは「スポーツの現場を通して、優秀な人材をビジネス業界に輩出する」。スポーツ現場を教材に、学生たちが本気でビジネスに取り組める場を提供することを目指した。

 「必ずしも、将来的にサッカー界やスポーツ業界で働いて欲しいとは思っていません。それぞれがやりたいことを、意思を持って楽しく働ける人材を輩出したい。それをスポーツの現場で提供したかった。ヴェルディの下部組織を出ている子たちって、なぜか面白くて、優秀で、結果を出すよね、というのをビジネス側でも展開したかった」。元リクルートキャリアの営業マンで、2年半前にサッカー業界に飛び込んだ発起人・東京Vパートナー営業部の佐川諒氏は語る。

 1期生として33人を迎え入れた。前期課程では週1の頻度で基礎を学び、後期課程で6チームに分かれ現場に飛び出した。

 あるチームは新規スポンサー候補リストを渡され、上から順に電話をかけていく…わけはなく、ヴェルディが課題解決できるような業界・企業を考え抜き、リストを作成するところからスタート。電話のかけ方を徹底的に練習し、どうすれば担当者につないでもらえるか、頭をひねり、実践。何とか企画書をまとめあげ、実際に営業へ出向いた。あるチームは、「若者集客」に焦点を当て、出口調査等でサポーターのニーズを探り、一から企画を立案、実施した。あるチームは地域が抱える課題を徹底的に聞き出し、クラブに出来ることを模索した。クラブが展開するeスポーツやビーチサッカー、野球などサッカー以外の競技運営に携わるチームもあった。

 佐川氏は半年間を振り返り、「実際に(数社の)スポンサー企業さんと縁をつないでくれるなど、社会人にはない成長スピードが感じられました。サッカーだけでなく、いろいろなスポーツ、領域で人を育てるという会社のビジョン、ミッションをかなえる第1歩になりました」と話した。2月には2期生の募集がスタートした(3月末まで)。スーツ姿の「安心と信頼のヴェルディ産」も、今後増えていくに違いない。(記者コラム・岡島 智哉)

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