【五輪の恵】植草歩、空手の伝道師を「狙いうち」 吉田沙保里さんに憧れ

昨年の全日本空手道選手権に出場した植草歩
昨年の全日本空手道選手権に出場した植草歩

 空手の植草歩が東京五輪代表を決めた。初めて取材したのは2015年。五輪での正式種目入りへ、空手界の広告塔となり、とにかく精力的に動いていた。ブログやSNSをまめに更新し、露出を増やそうとメディアに協力的な姿は今も変わらない。

 初対面の時のことをよく覚えている。「空手は取材経験がないのですが…」と名刺を差し出す記者に「大丈夫です。何でも聞いてください」と笑顔を返してくれた。イベントでのデモンストレーション中に前歯を折るアクシデントに見舞われたことがあった。それさえもネタにしてくれた。

 近年はトレーナーの元で、積極的に肉体改造に取り組んでいる。会う度に太もものたくましさは増していく。しかし、もともとは運動音痴だった。右利きながら、バスケットボールのドリブルは左手でしかできない。体育の授業では、いつもゴールの下に立たされリバウンド係だった。腕立て伏せをできるようになったのはここ数年のことだ。

 2004年アテネ大会で初採用された女子レスリングの吉田沙保里さんに憧れる。五輪3連覇を含む世界大会16連覇、個人戦206連勝。圧倒的な強さが、女子レスリングというマイナー競技の存在を世の中に知らせた。「ああなりたい。多くの人に空手の面白さを伝えられる選手になりたい」。その思いが支えになっている。

 高校までは究極の恥ずかしがり屋だった。帝京大に入学後、変身を遂げた。新入生の頃、50人を超える部員の前で持ち歌を披露しなければならない機会があった。植草が選んだ勝負曲は、山本リンダの「狙いうち」だった。プレミアリーグ・ザルツブルク大会は4回戦で敗れた。全ては東京五輪で頂点を極めるための過程。「♪見ててごらんこの私」。8月8日、武道館で金メダルを狙い撃つ。

 ◆高木 恵(たかぎ・めぐみ)北海道・士別市出身。1998年報知新聞社入社。紙面レイアウト、ゴルフ担当を経て、2015年から五輪競技を担当。16年リオ五輪、18年平昌五輪を取材。

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