大迫傑が鍛えたケニアの「ランナーの街」を記者が走った…すぐに息が上がり10キロもたず

◆報知新聞社後援 東京マラソン(1日、東京都庁スタート~東京駅前行幸通りゴール=42・195キロ)

 東京マラソンで2時間5分29秒の日本新記録をマークして日本人トップの4位に入った大迫傑(28)=ナイキ=は、昨年12月中旬から今年2月下旬までケニア・イテンで高地合宿を行った。標高2400メートルの「ランナーの街」に、順大で駅伝主務を務めた太田涼記者が潜入。厳しいトレーニング環境を体感した。

 赤土の天然クロカン。果てしなく続くような上り坂。ケニアの首都ナイロビから国内線で約1時間、そこから車で約40分のところにある街、イテンが大迫の新たな練習拠点だ。

 練習内容は極秘だが、ポイント練習は朝に行うことが多く、昼食やマッサージを挟んで午後にも走る。同じくケニアで合宿した神野大地(26)=セルソース=は現地選手らが形成するチームに参加する形で走ることが多いが、大迫は自らチームをつくり、主導権を握った。初めての土地、環境の中でも、強くなる手段を迷わず選んでいた。

 富士山6合目に匹敵する標高2400メートルに降り立ち、まずジョギングしてみた。すぐに息が上がる。現地の女子に軽く抜かれる。おかしい…。それもそのはずで、1キロあたり5分ぐらいのペースのつもりが、時計を見ると6分もかかった。最初の練習は苦しくて10キロももたなかった。

 東京マラソンを制したこともあるウィルソン・キプサング(ケニア)が経営するホテルに宿泊した。全部屋に五輪などで活躍したケニア人ランナーの写真が飾られている(私の部屋には世界陸上4連覇のエゼキエル・ケンボイ)。高地では日常生活を送るだけでも疲れるためか、夜9時にはベッドで熟睡した。

 大迫のマッサージを行っていたマカンガさんに、自分も施術してもらった。1時間500円。ビールが大好物で、自らも走っているが、「傑の足は日本人じゃないよ。目をつぶって触ったらケニア人と同じ」とその柔軟性や強靱(きょうじん)な筋肉を例えていた。

 さらに、大迫は世界記録保持者で非公認ながら人類初の2時間切りを果たしたエリウド・キプチョゲ(35)=ケニア=と一緒に夕食を取ったが、練習内容などを聞かなかったという。人は人、自分は自分。王者を前にしても、大迫らしさはブレなかった。

 大迫は息抜きも兼ねて車で街に出かけると、よく行ったというのがインドカレー店。お気に入りのマトンやシーフード、チキンなどをライスやナンと食べる。甘いものも好きで、昼食にカレーを食べる前でもアイスの乗ったチョコレートブラウニーをぺろりと平らげるなど胃袋の強さは驚異的。もちろん、お酒にも強い。

 求める高みへ上るには、どうすべきか―。常に考え、行動に移してきたことで“開拓者”としての一面を持ち合わせる大迫。そうしてたどり着いたケニアで過ごした2か月半は、最高の形で結実した。(太田 涼)

 ◆大迫 傑(おおさこ・すぐる)1991年5月23日、東京・町田市生まれ。28歳。長野・佐久長聖高から早大進学。2015年に米国へ拠点を移し、プロ選手に転向。16年リオ五輪5000メートルと1万メートル代表。17年4月のボストンで初マラソンに挑み、2時間10分28秒の3位。18年10月のシカゴで2時間5分50秒の日本新記録(当時)を樹立。20年東京マラソンで再び更新した。170センチ、52キロ。家族は妻と2女。

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