“開拓者”大迫傑の生き様 両親が支えた学生結婚&長女誕生

スポーツ報知
2時間5分29秒の日本新記録で4位となり、タイマーの前でポーズを取る大迫傑(代表撮影)

◆報知新聞社後援 東京マラソン(1日、東京都庁スタート~東京駅前行幸通りゴール=42・195キロ)

 日本マラソン界に名を残した大迫傑。その実力はもちろん生き方も並の選手の追随を許さない。早大時代には学生結婚し、異例の「箱根駅伝パパランナー」になった。ナンバーワンにしてオンリーワンの大迫を支えてきた父・猛さん(57)がスポーツ報知に感動&激動の秘話を語った。

 「レースすべて記録」 勝負の42・195キロ。大迫の家族も一緒に戦った。父・猛さん、母の直恵さん、弟・隼也さん、妻・あゆみさん、長女、次女の6人は10キロ、28キロの2か所で声援を送った。28キロ地点では日本人トップを走る井上大仁に約10秒、離されていた。

 「まだ余裕があるのか、本当にキツいのか、分からなかった。その後、6人で祈るようにしてゴールに向かいました。無事に帰ってきてくれて本当に良かった」

 日本記録を2度も更新した大迫は中学入学と同時に本格的に陸上を始めた。以来、小さな大会でも猛さんは応援に行った。

 「すべてのレースの記録をつけた。200メートル毎のラップタイムも残っています」

 中学では全国大会3位。長野・佐久長聖高では全国高校駅伝優勝。早大でも1年時に学生駅伝3冠の立役者となった。早大時代、順調な競技生活を送る中で最大の“出来事”は、あゆみさんと結婚し、長女が誕生したことだ。現在は、7歳の長女の存在を公表しているが、当時はトップシークレットだった。大迫と大迫の新しい家族を守ったのは猛さんと直恵さんだった。

 「あゆみさんの実家は遠いので彼女と赤ちゃんを(実家に)帰してしまっては傑の新しい家族がダメになると思った。だから(都内の)うちに来てもらった。うちだったら(早大選手寮の)所沢から頻繁に来られるから。当時、傑には『陸上を頑張ることで2人を幸せにできる』と言いました」

 「大事な孫の生活が」 早大卒業後、大迫は家族そろって米国に拠点を移し、さらなる成長を遂げることになった。誕生直後には一緒に暮らしていた孫は猛さんにとって目に入れても痛くない存在だ。

 「2度目の1億円のボーナスをもらえることになって、親というより、おじいちゃんとして安心しています。大事な2人の孫の生活がかかっているので」

 夏の東京五輪、そして、さらにその先へ。大迫の戦いは続く。

 「悔いのない走りをして、悔いのない人生を送ってほしい。家族みんなが笑顔で暮らしていくことを願っています」

 うれしい時も、苦しい時も猛さんは大迫を見守り続ける。(構成・竹内 達朗)

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