合言葉は「世界一のサーブ、世界一のレセプション、愛されるチーム」シッティングバレー・真野嘉久女子監督…東京2020パラリンピックを支える

昨年11月に開催された「SUPER 6」で熱戦を繰り広げる「煌めきJAPAN」
昨年11月に開催された「SUPER 6」で熱戦を繰り広げる「煌めきJAPAN」
「煌めきJAPAN」の真野嘉久監督
「煌めきJAPAN」の真野嘉久監督

 スポーツ報知web版では、56年ぶりに東京で開催されるパラリンピック(開会式8月25日)を迎えるにあたり、パラアスリート(障害者アスリート)を支える側にスポットを当てた連載を配信している。第5回は、シッティングバレーボール日本女子「煌めきJAPAN(きらめきジャパン)」。真野嘉久監督(55)に話を聞いた。(取材・構成=松岡 岳大)

 煌めきジャパンの合言葉は「世界一のサーブ、世界一のレセプション(サーブレシーブ)、愛されるチーム」。日本は他国に比べサーブで得点を奪える選手が多く、昨年初めて日本で開催された国際大会「NOMURA WOMEN’S WORLD SUPER 6」(東京・台東区)でも、住友美紀子(41)と菊池智子(40)の速さとパワーを兼ねそなえたサーブが観客を熱狂させた。米国(世界ランキング1位)、ウクライナ(同4位)、ロシア(同6位)も出場した大会で、日本(同11位=19年10月15日現在)は3位に輝いた。

 真野監督は「この大会で圧倒的に選手たちの成長があったんです」と胸を張った。米国とロシアには予選ラウンド(R)で2度対戦し、ともに0―3の惨敗だった。しかしウクライナとの予選Rでは、1戦目は0―3だったものの2戦目では3-1と勝利。再びウクライナとの対戦となった翌日の3位決定戦でも3-0と圧勝した。まるで日本代表が試合そのものを楽しんでいるように見え、コートチェンジの時間やテクニカルタイムアウトなどで選手たちが声を掛け合い笑顔があふれていた。

 「いつも国際大会では負け越して(日本に)帰ってくる。どこかに負けて当たり前的なイメージがありました」と真野監督。「ですけど3位決定戦は前日に(ウクライナに)勝ったことでリズムを作れたのが良かったんではないかな。リズムがあるからゆえに勝てたんだと思います」と分析、「勝てたことによって笑顔が一杯出てきたのではないでしょうか」と目を細めた。楽しくプレーし笑顔があふれるチームは「愛されるチーム」になれるだろう。

 煌めきジャパンは数年前まで、合宿で体育館に選手がそろってからアップするのが当たり前だったという。しかし現在は、パラリンピックへ向け選手たちのモチベーションも上昇。各自の部屋でアップを行ってから体育館に集合するようになり、集まる時間も以前より15分早くなった。座った状態でプレーするので、体をそらした場合に倒れないための体幹の強さやボールを追うための柔軟性のトレーニングもレベルアップ。実戦練習では各々が次のプレーを想定した行動も徐々にできてきている。真野監督は「指示待ちのバレーではなくて自分たちで考えなさいと。判断・決断・実行を早めにするということがテーマなので、言われてから動くのではなくて自分から動く選手になってもらいたい」とさらなる期待を寄せた。

 パラスポーツは、選手たちの平均年齢が高いのが特徴だ。19年度の日本女子代表で比較すると、健常者の「火の鳥JAPAN」(全日本女子)が平均26・3歳なのに対して、「煌めきJAPAN」の平均年齢は40・2歳。これは後天的に障害を負った人たちが受け入れるまで時間がかかり、そこから競技を始めるまでさらに時間がかかってしまうためで、どのパラスポーツにも共通している。

 それでも、代表唯一の10代で最年少セッターの波田みか(18)のような若手も育ってきた。以前よりパラスポーツが世の中に認知されるようになり、若い世代の人の参加も増えてきている。そこには、これまで日本のパラスポーツを引っ張ってきた先輩の活躍があるからだ。真野監督は注目する選手を「全員」と言い切った。

 「我々がメダルを取る理由は、この競技を皆さんに知ってほしいから。一番いいのはメダルを取ることで、様々なマスコミも取り上げてくれますから」と真野監督。全敗したら一斉にたたかれるおそれもあるが、「それでも知ってもらえるという意味ではいいことなのかなと。ここからスタートなので」と話した。

 ◆東京2020パラリンピック・シッティングバレーボール(8月28日~9月6日、幕張メッセAホール)の注目ポイント

 パラリンピック正式競技「シッティングバレーボール」は、コートにでん部(肩からでん部までの「上体」)の一部が常に接触している状態、競技名の通りシッティング(座った)状態でプレーするバレーボールだ。選手たちは足だけでなく上体も使い滑るようにコート内を移動しながらプレー。ボールの落下地点に素早く移動する早さが求められるため横座りでポジションをとることが多い。立っていたら落ちてしまうようなコート面ギリギリのボールを拾ってつなぐことも可能。ボールが落ちそうで落ちないという緊迫したプレーの応酬が見ている側も楽しめる。

 プレー中にでん部が床から離れると「リフティング」というファウル。ラリー中などに起こる、ネット上でのボールの押し合いはアゲイン(サーブからやり直し)。「タッチネット」のルールは、ネット上部の白線に触れた場合にのみとられる。

 アジアで女子ナンバー1は中国で、日本とイランが2番手を競っている。

昨年11月に開催された「SUPER 6」で熱戦を繰り広げる「煌めきJAPAN」
「煌めきJAPAN」の真野嘉久監督
すべての写真を見る 2枚

スポーツ

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS ショップ報知 マガジン報知 バックナンバー申し込み 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真販売 法人向け紙面・写真使用申請