大物登場でもMLBキャンプ地に吹き荒れる北風

故障者続出のヤンキースで田中への期待は高い(ロイター)
故障者続出のヤンキースで田中への期待は高い(ロイター)

 ゲリット・コール(ヤンキース)ら、話題の移籍ビッグネームが次々とオープン戦デビューを果たし、本格的な球春の訪れを喜んでいた。だが、MLBに吹く北風は止まない。サイン盗み問題を起こしたアストロズの試合では大ブーイングが浴びせられ、主砲ホセ・アルテューべを含め6試合で計7死球を受けるという不穏な空気が流れている。

 オープン戦開幕前には各球団の選手たちがアストロズや選手たちに対して謝罪しない姿勢などで不満をぶつけるケースが目につき、ロブ・マンフレッド・コミッショナーはキャンプ地巡りをしながら各チームの監督に報復死球を厳に慎む旨を伝えていたが、守られる様子はない。

 さらなる北風はアジアから吹いてきた。新型コロナウイルスだ。アメリカ本土でも感染者が出始め、ニューヨークの郊外ではその数は30人を超えたといわれ、感染報告されていないサンフランシスコ市は予防的対策として非常事態宣言を出した。

 こうした状況の中で、レッドソックスはキャンプ地で感染していない台湾選手をホテルに隔離した。「あくまでの予防」というが、影響はすでにここまで及んでいるのだ。開幕まで約1ヶ月。トランプ政権のかじ取り次第では北風が次第に強まり、厳しい対応を迫られる局面が出てくるかもしれない。

 30球団の中で最も北風が身に染みているのはヤンキースだろう。スキャンダルではなく、こちらは戦力。ほとんどのスポーツ・メディアでその層の厚さと、メジャー最強右腕といわれるコールの加入で本命視されているのだが、故障者が続出している。キャンプイン前に、左腕のジェームス・パクストンが痛めていた腰の手術。復帰は5月以降になる見込みだ。次にアーロン・ジャッジが右肩の故障で、オープン戦開幕に間に合わず。さらに昨年右肩痛で3試合しかレギュラーシーズンに登板できずに今季の復活を目指していた剛腕ルイス・セベリーノの右ヒジ痛が発覚、ついには今季絶望のトミー・ジョン手術。

「野球をやりたい。投げたいんだ」と失望を隠せぬセベリーノは悲痛の叫びを上げた。

 これでコール、田中将大、J・A・ハップと構成する豪華なローテーションから2人が抜けることになった。ヤンキースはしかし、持ち駒には困らない。マイケル・キングらマイナーの若手が育ち、17年に新人で9勝をマークしたジョナサン・モンゴメリーのトミー・ジョン手術からの復帰も見込める。昨年18勝したものの、DVで出場停止のドミンゴ・ヘルマンも6月上旬に戻ってくる予定で緊急トレードの必要はなさそうだが、若手の成長が鈍い場合は開幕前にFAをシーズン後に控える左腕ロビー・レイ(ダイヤモンドバックス)らをターゲットに仕掛けることも考えられる。

 もっとも、今度は25日の打撃練習中に大砲ジャンカルロ・スタントンが右足ふくらはぎを痛めて開幕が微妙になった。

 吹き荒れる北風はいつ向きを変えてくれるのだろうか。(出村 義和=スポーツジャーナリスト)

出村 義和
 (でむら・よしかず)1971年、ドジャースタジアムでMLB初観戦。ベースボールマガジン社でアメリカ総局勤務、週刊ベースボール編集長などを務める。独立後、ニューヨークをフランチャイズに19年間MLBを中心に多岐にわたるジャンルで取材、執筆を行う。帰国後、JスポーツでMLB中継の解説者も務める。

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