丹羽孝希が抱く五輪や卓球界への熱い思い「メダルがどうしても欲しい」

2020年は「団体戦の年」と位置づける丹羽孝希。五輪のメダルに向け静かに闘志を燃やしている(カメラ・竜田 卓)
2020年は「団体戦の年」と位置づける丹羽孝希。五輪のメダルに向け静かに闘志を燃やしている(カメラ・竜田 卓)
笑顔も交えて五輪、卓球への思いを語る丹羽
笑顔も交えて五輪、卓球への思いを語る丹羽

 卓球男子で、12年ロンドン五輪から3大会連続の代表入りを決めた丹羽孝希(25)=スヴェンソン=がインタビューに応じた。2020年を「団体戦の年にしたい」と目標を掲げると、銀メダルだった16年リオ五輪に続くメダル獲得へ、苦手意識があった団体戦での活躍を宣言。試合中も感情を表に出すことが少ない冷静な男が、過酷だった代表選考レースを振り返るとともに、五輪や卓球界への熱い思いを語った。(聞き手・林 直史)

 ―昨年は水谷隼(30)=木下グループ=との激しい争いを僅差で制して、2番手でシングルスと団体での五輪代表を勝ち取った。

 「3番目になれば(不利とされる左利きペアになる可能性があるダブルスで)選ばれる自信がなくて、最後まで分からなかった。去年前半はアジア杯3位、世界選手権8強とよかったけど、中盤に7大会連続1回戦負け。ドイツOPも2回戦で負けた時は終わったと思いました。ラケットを握ると気持ちが沈んで、10日ぐらいは卓球をやってなかった。(気晴らしの)ダーツだけがどんどんうまくなりました。代表に決まった時は実感はあまりなく、周りからの連絡でやっとうれしさが出てきましたね」

 ―7大会連続初戦敗退は初めての経験だった。

 「前半の貯金があったので最初の1、2大会はまだ大丈夫だろうと少し余裕があったけど、それが続くことで焦っていった。ブルガリア、チェコOPでフレイタス(ポルトガル)に連敗した時は勝つ気力も湧かなかった。パラグアイOPも初戦で世界ランク546位の選手に負けて。思い切った攻めができず、ポイントや他の選手のことも考えていて自分のことだけに集中できなかった。気持ちの面が大きかったと思います」

 ―代表決定後初の国際大会だった1月のドイツOPでは本来の姿が戻った。

 「ランキングや日本人同士の代表争いから解放されてすごくいいプレーができた。初めて水谷さんを応援できましたし、試合前は練習相手もしました。やっぱりライバルだったけど、これからは(張本智和と)代表3人で協力してチームランキングを(強豪の中国と決勝まで当たらない)2位に上げて団体で勝ちたい。ポジティブな気持ちになってます」

 ―今年は『団体戦の年にしたい』と目標を掲げた。

 「世界選手権、Tリーグファイナル、五輪と団体戦が3つある。そこで貢献したいですね。最近は団体で、あまり貢献できてなくて、途中でメンバーから外される悔しいパターンが多い」

 ―3月22日からは2年に1回の世界選手権団体戦がある。2年前は世界ランク2番手だったが、途中でメンバーを外れた。

 「悔しかったですね。16年大会も途中で外されて、あまりいいイメージがない。『個人戦の方がノビノビしたいいプレーができる』とはよくいわれます。でも負けるから外されるわけであって、結果を出して使わざるを得ないような状況にしたい。世界ランクではなく、団体戦で勝つ選手が一番信頼される。五輪代表でも負ければ、今までのように途中で出られなくなると思う。1回でも負けたら終わり、ぐらいの気持ちで戦いたい」

 ―それでも苦手意識がある団体戦にこだわる理由は。

 「五輪では団体の方がメダルを狙える可能性が高いと思っています。僕としてはメダルがどうしても欲しい。リオの時は水谷さんがシングルスで(毎試合)2勝したから取れたけど、僕は3敗。(吉村真晴と)ダブルス専門の感じだった。今度はシングルスでもしっかり勝ちたい思いがある」

 ―リオ五輪の団体で獲得した銀メダルの重みは。

 「メダルを逃したロンドンの後は取材もゼロ。リオの後の1か月はすごく忙しかった。競技の強化費も(メダルがあると)全然違う。卓球界の4年間が懸かっている。リオでメダルを取ってから、女子だけではなく男子もすごく取り上げてもらえるようになったけど、今回メダルを逃せば、またロンドンみたいになる。危機感はあります」

 ―メダル争いは混戦だ。

 「すごく大変ですね。中国が抜けていて、ライバルはドイツや韓国ですけど、スウェーデン、台湾、ブラジルも強い。準々決勝ぐらいからは五分五分。ダブルスの(ペア)問題もある。でも、普段から目標は大きく言わず、現実的なことを言うように心掛けてますが、五輪のメダルは本気で目指してます。本当のことを言ってるだけです」

 ―私生活については多くを語らない印象がある。

 「謎めいてる方が面白いかなって。趣味を聞かれるのが困るんです。一応、温泉とか映画、ボウリング、ダーツって答えてますが、本当に『ちょっと卓球が強いだけの普通の人』なので。プライベートで目立つのも、全部自分から発信するのも好きじゃない。本当に強い人は、SNSやテレビのバラエティー番組にもあまり出ない。僕の同世代で言うと大谷(翔平)選手や羽生(結弦)選手とか。勝てば自然と有名になる。そういうのが格好いいなと思いますね」

 ―東京五輪後の展望は。

 「卓球は長くやりたい。負けて辞めたいと思う時もありますけど、五輪代表になって、また4年後を目指そうという気持ちになりました。辞めた後にどうするかは何も考えてない。今は卓球を頑張るだけです」

(紙面掲載日2月25日。その後、世界選手権は延期が決定した)

 ◆丹羽 孝希(にわ・こうき)1994年10月10日、北海道・苫小牧市生まれ。25歳。7歳から卓球を始める。青森山田高、明大を経てスヴェンソン所属。10年ユース五輪、11年世界ジュニア優勝。12年ロンドン五輪団体5位。16年リオ五輪団体銀メダル、シングルス8強。15、17年世界選手権男子ダブルス銅メダル。全日本選手権シングルスは13年大会で優勝。162センチ、51キロ。家族は両親と姉、弟。

2020年は「団体戦の年」と位置づける丹羽孝希。五輪のメダルに向け静かに闘志を燃やしている(カメラ・竜田 卓)
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