火野正平、原発で奮闘した人に「絶対に恥ずかしくないように」…Fukushima50連載〈4〉

ひょうひょうとした素顔と役とのギャップにも注目の火野正平
ひょうひょうとした素顔と役とのギャップにも注目の火野正平
火野は(左から3人目)中央制御室・管理グループ当直長を演じた
火野は(左から3人目)中央制御室・管理グループ当直長を演じた

 「映画って見た人がそれぞれが感じ取るもの。俺が『あーです、こーです』と話すのは何か変な気がしてな」。この人らしいコメントかもしれない。火野正平(70)が演じた壮絶な姿もまた、強く記憶に刻まれるだろう。劇中、人が作り出したものが制御不能状態にある現実。高線量の放射線を浴びようと、若い仲間より先に自分の命を投げだし暗闇へと飛び込んでいく。

 「浩ちゃん、謙ちゃん」と呼ぶほど共演の佐藤浩市(59)、渡辺謙(60)とは交流は長い。「ちょっとの役と思ったら全然違ったな。防護服に酸素ボンベ。少し動くだけですごく息苦しい。でもあの時もこんな動きにくい中で作業されてたんだからね」。演じたのは「覚悟の塊」のような人物だ。軽妙でひょうひょう。世間の多くが抱く「俳優・火野正平像」は今作で見事に裏切られる。

 原発の最前線「中央制御室」で奮闘する実在の人物を演じた。「その人に絶対に恥ずかしくないように。きらっと(芝居で)光りたかったけど、にぶーくしか光らへんかったんちゃうかな」。いぶし銀の光沢が、まぶしく輝くより重みを持つこともある。

 火野といえばNHK BS「にっぽん縦断 こころ旅」でもおなじみ。2011年から9年間に1万2000キロメートル以上を自転車で走破。地球の約4分の1周に相当する。全国津々浦々を訪れ、人と交流してきたことは火野の人生観にも変化を与えた。地球儀を見ればごく小さな国だ。しかしそこで地震だけではない水害、火山の噴火などあらゆる災害が起きている。

 「どこに行っても元被災地やと感じるんよ。日本ってそういう島なんやな、と改めて思う。でも人間はそこを離れず、また住みたいと思うんだよ」

 昨今のエンターテインメントものとは真逆に位置するような映画だ。自分の演技を振り返ることには抵抗を覚える様子を見せていた。しかし皆で作り上げたこの一本に誇りがある。「あれだけのことが実際に起きた。でも俺らはいま生きている、という現実。日本だけでなく世界中の人が見てくれたら、うれしいことだよね」(内野 小百美)

 ◆火野 正平(ひの・しょうへい)1949年5月30日、東京都生まれ。70歳。劇団「こまどり」に入り、62年ドラマ「少年探偵団」出演。73年NHK大河「国盗り物語」の秀吉役で注目を集めて以後、個性派の名バイプレーヤーとして活躍。

ひょうひょうとした素顔と役とのギャップにも注目の火野正平
火野は(左から3人目)中央制御室・管理グループ当直長を演じた
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