◆オープン戦 ヤクルト2―2阪神(24日・浦添)
新外国人の遊撃手・エスコバーが、メジャーも魅了した「エスキー・マジック」を南国で連発した。
まずは2回だ。1死一塁で大山の三遊間への深い打球に逆シングルで追いつくと、すぐさま二塁へ送球し、「6―4―3」の併殺を完成。3回2死からは高山のボテボテの打球にダッシュで前に出ると、一塁へ華麗なジャンピングスロー。スタンドからは「ダイナミックすぎる」と声が飛んだ。
ロイヤルズで15年にゴールドグラブ賞を受賞した実績はだてじゃない。「状態はいいし、守備で貢献できる選手と思っている。(大事にしているのは)確実なアウトを確実に取ることだ」とこだわりを明かした。
2日に遊撃で初めて受けたシートノックを目にした時は、不安を感じなかったわけではない。捕球はふわっとした動きで、送球も緩やか。だが、この日は動きのキレや送球の強さを感じたし、実戦で結果を出せるタイプ。米国のキャンプインが20日前後であることを考えれば、これが例年通りの調整なのだろう。
長い手足も大きな武器で、プレーが派手に見える。森岡内野守備走塁コーチは「(大山の打球は)普通の選手は捕れますか?」と驚きの表情。遊撃だけでなく、三塁での起用も見極めていくことになるが「練習態度、捕り方、送球は丁寧だし、基本に忠実。1歩目のスタートがいいから、守備範囲も広い」と分析した。
それもそのはず、師匠はゴールドグラブ賞を11度獲得した同じベネズエラ出身のオマー・ビスケル氏。堅実さと華麗さを兼ね備えた名遊撃手だった。今春はDeNAで臨時コーチを務めていたため、エスコバーは会食して激励を受けた。
MLB通算1367安打の打撃も出場4試合連続で安打をマーク。日本でのキャンプを「とてもいい時間を過ごした。もっと練習してシーズンを迎えたい」。豪快に歯をくっきり見せるチャーミングな笑顔も増えてきた。(田島 正登)
◆右すねに自分!左に母の名前タトゥー
エスコバーの右すねには自身の名前「アルシデス」、左すねには「エスベリア」とカタカナでタトゥーが彫られている。彫ったのはロイヤルズでプレーしていた約5年前だといい「(日本語は)当時のトレーナーが日本人だったことがきっかけです。エスベリアは母の名前で、毎日連絡を取っています」と親思いの一面を明かした。
◆アルシデス・エスコバー(Alcides Escobar)1986年12月16日、ベネズエラ生まれ。33歳。2008年にブルワーズでメジャー昇格。15年はロイヤルズで、球宴に選出され遊撃のゴールドグラブ賞を受賞。チームの世界一に貢献した。メジャー通算1367安打、41本塁打、174盗塁。185センチ、88キロ。右投右打。推定年俸8720万円。