【東京五輪 社会学】屋形船、お台場に入れません…大会前後の3か月間封鎖、稼ぎ時に大打撃

お台場海浜公園内に停泊する屋形船(屋形船東京都協同組合提供)
お台場海浜公園内に停泊する屋形船(屋形船東京都協同組合提供)
東京港内自主航行ルール設定海域全体図
東京港内自主航行ルール設定海域全体図

 東京五輪・パラリンピックでトライアスロンなどの会場となるお台場海浜公園は、6月21日~9月20日の3か月間、船の航行が禁止される。これを受け、屋形船や水上バス、漁業、ヨットなど船舶関係の各種団体は、会場やレインボーブリッジの周辺、隅田川河口域などで停泊やいかりを下ろすことを禁じる自主航行ルールを定めた。乗客が最も見込まれる“稼ぎ時”を奪われる関係者は「協力はするので、我々の要望にも早く答えてほしい」と訴えている。(高柳 哲人)

 水しぶきを上げて海面に飛び込む水上バスから子供たちの歓声が上がり、夜になれば数十隻の屋形船が浮かぶお台場から、この夏は一切の船影が消える。大会組織委員会は警備面に加え、「大腸菌を流入させずに水質を保つため、海底までスクリーンを設置する必要がある」として、五輪開幕約1か月前の6月21日からパラリンピックの閉幕2週間後の9月20日まで、船舶の航行を禁止する。

 ハイシーズンの3か月の航行禁止は、観光業界にとって大打撃。中でも、影響が大きいのは屋形船だ。お台場付近で停泊し、酒や天ぷらを提供するのが「定番コース」。7~9月の売り上げは、年間の6、7割を占めるとも言われる。現在、感染拡大が不安視されている新型コロナウイルスの感染者が屋形船の関係者、利用者から見付かり、乗客減が言われているが、影響度から考えれば、夏場の航行禁止はその比ではない。

 屋形船東京都協同組合の佐藤勉理事長(66)は「お台場に入れないのは、やむを得ないと思いますし、我々も五輪・パラリンピックには協力をしたいと考えています」と話す。そのため、昨年12月には他の船舶関係の団体と共に「東京港内自主航行ルール」を定めた。これは、7月14日から9月9日の間、対象海域で停泊やいかりを下ろすことを禁じるものだ。

 これまでも、羽田空港を要人が利用する時などに航行制限がかかることがあったが、その場合は一方的に「〇〇の地域は航行禁止」と通知がされる形だった。「その意味では、民間側が意見を出し、海上保安庁などと相談して制限区域を決めたというのは初めてだと思います」と佐藤さんは話した。

 それだけに「こちらからお願いしたことに対しても、組織委などが早く答えを出してほしいのです」と気をもむ。「何より知りたいのは、我々が期間中、どこの桟橋を利用していいのかという点。お客様の乗降をどこでできるかが決まらないと、航路を決めることができないので」。今回、お台場海浜公園に船を入れられないことで各船宿は新規航路の申請を考えているが、出発・到着地点が決まらないと計画が立てられないという。

 「すでに夏の問い合わせがお客様から来ていますが、航路が決まっていなければ予約を受けることもできない。ホームページなどでお知らせもできません。とにかく、正式決定が早く出てほしいですね」と佐藤さん。五輪は各国から観光客が来ることから、屋形船という日本独自の文化を世界に発信する大きなチャンス。「五輪も我々もともに笑うことができるようになれば」と願っている。

お台場海浜公園内に停泊する屋形船(屋形船東京都協同組合提供)
東京港内自主航行ルール設定海域全体図
すべての写真を見る 2枚

社会

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS ショップ報知 マガジン報知 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真販売 法人向け紙面・写真使用申請