東大生も“初耳学” 意外と知らないマラソンの「公式記録」

今年1月の箱根駅伝で、ゴールテープを切る関東学生連合10区の東大・阿部飛雄馬
今年1月の箱根駅伝で、ゴールテープを切る関東学生連合10区の東大・阿部飛雄馬

 16日に青梅マラソンの取材から帰宅し、テレビをつけると、TBSの番組「林先生の初耳学」に出演する見覚えのある顔に目がとまった。今年の箱根駅伝で関東学生連合のアンカーを務めた東大・阿部飛雄馬(4年)だ。実はこの日、彼とは青梅マラソンで箱根駅伝以来の再会をしたばかり。番組では「第2回箱根駅伝で起きた珍事」を出題し、予備校講師で博識な林修氏(54)に「知らなかった」と言わしめた。だが、この翌日に東大生の彼も「初耳学」なマラソンのルールを知ることとなった。

 約1万9000人が参加した今年の青梅マラソン。女子30キロの部で東京五輪女子マラソン代表内定の前田穂南(23)=天満屋=が日本新記録でフィニッシュした。取材も一段落がついた頃、選手の待機会場周辺で、何かを探している阿部と出会った。「どこに行くの?」と尋ねると、「公式記録を見に来ました。1時間38分23秒でゴールしたので、スタート地点からの“公式記録”ならギリギリ、東大記録(1時間38分19秒)を超えているかもしれないんです」と教えてくれた。

 マラソンのタイムには、号砲からゴールするまでの「グロスタイム」と、スタート地点を通過してからゴールするまでの「ネットタイム」の2種類がある。数千人規模の大会となれば、号砲からスタート地点を通過するまでにかなりのロスが生じるが、ネットタイムであれば、公平にタイムを測定できる。阿部のネットタイムは「1時間38分13秒」。私は彼に言葉に何の疑いもなく、「おめでとう」と言葉を交わし、その日は帰宅した。

 この翌日、彼から再び連絡があった。「東大記録(の更新)ではないそうです。自分も今知りました…」。一見すると、スタートでのロスが考慮されない「ネットタイム」が公式記録になりそうだが、日本では運営上の理由などで「グロスタイム」が公式記録として採用されている大会がほとんど。そのため、東大記録(30キロロードレース)には、4秒及ばなかったのだ。

 小学5年生から陸上に打ち込んだ東大生の彼でもこんなことはある。4月で入社してから1年が経つが、識者の言葉にも確認を怠らず、先入観にとらわれずに話を聞かなければならない。そう改めて認識させられた「初耳学」だった。(竹内 夏紀)

 ◆阿部 飛雄馬(あべ・ひゅうま)1996年8月26日、岩手・滝沢市生まれ。23歳。小学5年から陸上を始める。盛岡一3年時に全国高校総体3000メートル障害に出場。一浪を経て2016年に東大入学。現在は教育学部総合教育科学科4年。来年は東大大学院に進学。趣味は哲学書と漫画を読むこと。168センチ、52キロ。

 ◆マラソンの記録 スタートの合図からゴールするまでの「グロスタイム」と、スタート地点を通過してからゴールまでの「ネットタイム」がある。日本では一般的に「グロスタイム」が公式記録とされる。しかし、海外ではニューヨークシティ、ボストン、ホノルルマラソンなどの大規模な大会にも「ネットタイム」が公式記録として採用されている。(一部、市民ランナーのみに適用)

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