【清水】大熊GM、巻き返しへチーム改革「まず、ACLに出る」「リーダーがいる」

清水強化に向け熱い思いを語った大熊清GM
清水強化に向け熱い思いを語った大熊清GM

 昨年末、J1清水エスパルスのGMに就任した大熊清氏(55)がこのほど「スポーツ報知」の取材に応じた。これまでF東京、C大阪、U―20日本代表などで監督を務めた大熊GMは南アW杯はフル代表コーチとして戦い、フロント入りしていた17年にはC大阪を2冠に導いた。指導者としてもフロントとしても豊富な経験を持つ大熊GMに、昨季リーグ12位からの巻き返しを図るチームの現在地や今後目指す場所について聞いた。(取材・構成 山田 豊)

 23日の開幕戦まであと5日。クラモフスキー新監督(41)と共に立て直しを託された大熊GMは、チームを冷静に分析する。

 「10人以上の選手が入ってきた。監督は優勝と言っているけど、カップ戦要員もいるし、優勝する力もある。ただ、練習試合をみていると、1度やられると下を向いてしまう。強豪は『大丈夫』と思わせたり、奮い立たせるリーダーがいる」。

 指揮官が掲げるのは攻撃サッカーだが、キャンプ中の練習試合でもミスが所々に出た。16日のルヴァン杯開幕戦(対川崎、1●5)では大敗しており、戦術が浸透するには時間がかかりそうだ。F東京やC大阪で監督を務めた大熊GMは言う。

 「クラモフスキー監督とは選手について聞き、戦術の話も始めた。C大阪のフロント時代より早い。監督のサッカーをフロントが知らないと、サポートも選手獲得もできない。ヘッドコーチだった横浜Mの初年度(12位。プレーオフ圏の16位磐田と同じ勝ち点41)のようなことがないようにするのが私の立場。甘くはない。残留は最低限(の仕事)」

 経験豊富なGMだけに動きも早い。昨年末に前GMだった大榎克己氏(54)が強化部長に就任するなど人事異動もあった。新任の大熊GMの役割とは何なのだろうか。

 「私の立場は明確。地域に根ざしながら強いチームを作る。育成がポイントだ。中大時代、早大にいた一学年の下の克己とは大学選抜でも一緒だったし、強化担当者会議でも話していた。克己は私よりも近い位置で(選手と)深い話ができる。私は引いた立場で育成含めた全体をみる。周りの意見が多いから正しいわけじゃない。厳しいこともいうのが役割だと思っている」

 長期的なチーム編成にも目指す形がある。昨季までフロントにいたC大阪では海外挑戦したMF清武弘嗣(30)がスペイン1部・セビリアから、MF山口蛍(29、現神戸)がドイツ1部・ハノーバーから、FW柿谷曜一朗(30)がスイス1部バーゼルから古巣に復帰。育成した選手が、国内外の強豪での経験を得て再びチームに戻り、活躍するという形ができた。

 「Jリーグも変化している。循環型選手というか、いい選手が(チーム内に)次々出てくるという形にしたい。清水も(昨夏にオーストリアのラピッド・ウィーンに移籍した元日本代表FW)北川(航也、23)のようになれるというイメージが強まれば、新陳代謝もよくなる」

 Jリーグが17年から中継契約を結んだ「DAZN(ダ・ゾーン)マネー」で賞金の額は上がっている。昨季J1を制した横浜Mは賞金3億円に加え、Jリーグから理念強化配分金として3年に分けて計15・5億円が支給される。配分金を手にするのは4位までのチームに限られ、2位でも7億、3、4位でも億単位の配分金が支給される。クラブ間の格差もついており、上位進出がチームの将来を左右する。

 「Jリーグが格差を作ろうとしているが、食らいつく。逆にDAZNマネーを獲得できたらチャンス。昨季は天皇杯4強だったが、リーグ戦はクラブ力。簡単じゃない。毎年のように残留争いしている現実を認め、選手にも我々スタッフにも厳しくいかないといけない」

 GMとして長期的な目標についても語った。

 「まず、ACLに出る。試合が多いと魅力を感じて若手が加入し、循環が良くなる。神戸だって全員でACL出場を思い続けて、今年初出場。静岡は磐田含め久しく出ていないが、清水が出れば変わる。今年は高校選手権で男子の静岡学園、女子の藤枝順心が全国優勝するなど(静岡が)発展する土壌はある。清水を中心に回していきたい」

 ブレないことが大切だ。C大阪でもその思いを貫くことで、16年に監督としてJ1に復帰するとフロント入りした翌17年には天皇杯とルヴァン杯を制し、リーグ戦でも3位になった。

 「ACLは天皇杯優勝でもいける。クラブ全体がブレずに思い続ければ必ずできる」。

 清水の上位躍進のきっかけとなるべく、その手腕を発揮していく。

 ◆理念強化配分金 17年に新設。Jリーグ規定によると、その用途は〈1〉日本サッカーの水準向上及び普及促進〈2〉若年層からの一貫した選手育成〈3〉フットボール環境整備〈4〉選手や指導者の地域交流および国際交流の推進ならびにスポーツ文化の振興などと決められている。J1リーグ1~4位のクラブに、翌年から最大3年分割で支給される。

 ◆大熊 清(おおくま・きよし)1964年6月21日、埼玉県浦和市(現さいたま市)生まれ。55歳。浦和南高、中大を経て87~92年に東京ガス(現F東京)でプレー。93年から指導者となり、U―20日本代表、F東京、大宮、C大阪などで指揮を執った。06~10年はフル代表コーチ。F東京、C大阪では強化担当としても活躍した。

サッカー

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請