前田穂南、五輪必勝ロードで野口みずき超え日本新…金メダルが射程圏内に

女子30キロの部を1時間38分35秒の日本新記録で初優勝し、笑顔を見せる前田穂南(カメラ・竜田 卓)
女子30キロの部を1時間38分35秒の日本新記録で初優勝し、笑顔を見せる前田穂南(カメラ・竜田 卓)
五輪メダリストと前田の青梅ラップ比較
五輪メダリストと前田の青梅ラップ比較

◆報知新聞社主催 青梅マラソン ▽女子30キロ(16日、東京・青梅市日本陸連公認コース)

 女子30キロに出場した東京五輪女子マラソン代表の前田穂南(23)=天満屋=が1時間38分35秒の日本新記録で優勝した。野口みずきさんが2004年アテネ五輪金メダルを獲得する直前に樹立した大会記録を16年ぶりに34秒更新。野口さんが05年のベルリン・マラソンの途中計時で出した日本記録1時間38分49秒も上回った。青梅路をステップに、東京五輪金メダルが射程圏内に入った。優勝賞金50万円と、コースレコード賞200万円の計250万円を手にした。(曇り、気温9・7度、湿度87%、北の風2メートル=スタート時)

 有言実行の大記録は、誰よりも前田自身を驚かせた。「(1時間)39分を切ることを目標にしていたけど、日本新は考えていなくて」。野口さんの日本記録(1時間38分49秒)を破ったとは思えないほど、控えめなガッツポーズ。「最後はタイマー(電光掲示板)が(角度の都合で)見えなくて…。喜んでいいのか分からなかったんです」。歴史的ゴールの瞬間すらも、マイペースな23歳らしさにあふれていた。

 スタート直後から他の女子選手を置き去りにして独走態勢に入ったが、いきなり呼吸が苦しかった。「本格的な上りに入る前から、きついと感じた」。1月の米国・アルバカーキ合宿で体調を崩し、約1週間は練習量を落としていた。練習不足か、不調なのか―。不安がよぎる中、周囲を走る男子選手が脱落し始めるのを見て「体がすごく動いちゃって、勝手にペースが上がっていくような感覚でした」。呼吸が追いつかないほど足が進んだ。好調時の感覚だった。

 昨年9月の東京五輪代表選考会MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)を制し、五輪代表に内定。試金石のレースとして、平坦な高速レースやハーフマラソンではなく、あえて高低差85・8メートルの青梅路を選んだ。所属先の武冨豊監督(66)は「高橋尚子さんや野口さんといったメダリストと比べて、自分がどれだけの位置にいるか確かめたかった」と理由を明かす。「よく頑張った。予想外です。39分台でいいと思っていたので、百点満点の走りです」と00年シドニーから12年ロンドンまで4大会連続五輪代表を指導した名将もたたえた。

 スタート前まで大雨に見舞われたが、号砲が近づくと雨はやんだ。レース前日の15日には「雨とか寒いのは苦手で。でも、雨女じゃないから大丈夫ですよ」と話していたが、96年、ねずみ年生まれの年女は天も味方につけた。呼吸しやすい適度な湿度に、ほぼ無風という絶好のコンディション。レースが進む中でも「一緒に走ってくれた男子選手が『これなら何分でいけるよ』って言ってくれて、引っ張ってくれた」とアシストも受けて、大記録へとひた走った。

 野口さんは04年の青梅路を大会新記録で駆け抜け、アテネ五輪金メダルにつなげた。前田はMGC以降、「東京五輪の金メダルが目標」と公言。レース後は「(野口さんと)同じ流れでいいモチベーションになりますし、金メダルが近づいていると思う。けがせずに継続して練習することが大事。いつかはマラソンの日本新も」と言い切った。青梅発金メダルの再現がはっきり見えた。(太田 涼)

女子30キロの部を1時間38分35秒の日本新記録で初優勝し、笑顔を見せる前田穂南(カメラ・竜田 卓)
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