棚橋弘至が内藤哲也の大阪城大流血に藤波辰巳VS前田日明を追想…金曜8時のプロレスコラム

1月4日の新日本プロレス「WRESTLE KINGDOM14 in 東京ドーム」で藤波辰爾の入場時に出た昭和の「ワールドプロレスリング」風のテロップ
1月4日の新日本プロレス「WRESTLE KINGDOM14 in 東京ドーム」で藤波辰爾の入場時に出た昭和の「ワールドプロレスリング」風のテロップ

 新日本プロレス「THE NEW BEGINNING in OSAKA」(9日・大阪城ホール)のメインイベントで、IWGPヘビー級、IWGPインターコンチネンタル2冠王の内藤哲也(37)が、KENTA(38)の挑戦を退け、2冠の初防衛に成功した。

 このダブル選手権は、大阪にふさわしい遺恨マッチだった。史上初の東京ドーム2連戦となった新日本プロレス「WRESTLE KINGDOM14 in 東京ドーム」で、1月4日に飯伏幸太(37)を下してIWGPヘビー級王座を防衛したオカダ・カズチカ(32)とジェイ・ホワイト(27)を破ってIWGPインターコンチネンタル王座を奪還した内藤が、5日に対戦。そこで史上初の2冠王に輝いた内藤の勝利セレモニーを乱入でぶち壊したKENTAに大ブーイングが浴びせられた。

 KENTAは、その後の前哨戦やバックステージ、さらにはSNSで内藤を挑発して、ヒールとしてのし上がった。大阪ではダブル選手権の初防衛戦という以上に因縁の対決として盛り上がった。遺恨マッチは大阪では受けるのだ。

 かつては、タイガー・ジェット・シンと上田馬之助の仲間割れ一騎打ち(1978年9月19日・大阪府立体育会館)やアントニオ猪木とラッシャー木村の髪切りデスマッチ(1982年9月21日・大阪府立体育会館)という遺恨決着戦があり、大阪城ホールでは、アントニオ猪木とマサ斎藤の因縁対決(1987年3月26日)に海賊男が不可解な乱入でぶち壊し、大暴動に発展した事件があった。

 暴動になるんじゃないかという昭和のファンの変な期待に、令和のファンがこたえるはずもなく、入場時に物が投げ込まれることはなく、ブーイングという合法的なヒート。試合終盤で大阪のファンを熱狂させるアクシデントが起きた。内藤がむき出しのコーナーポストにたたきつけられた後に、額からまさかの大流血。令和の時代に流血戦は似つかわしくないはずだった。放送コードにも引っかかりかねない大流血で、まさに血だるま。顔を真っ赤に染めながらも内藤は、必殺のデスティーノで勝利。

 東京ドームで大合唱できなかった「ロス・インゴベルナ~ブレス・デ・ハポン!」を超満員札止め1万1411人の観衆と大合唱。最後まで血をぬぐうことはなく花道を下がっていく内藤に、放送席でゲスト解説を務めた元IWGPヘビー級王者の棚橋弘至(43)が興奮気味にこうコメントした。

 「僕ね、大阪城ホールで内藤とシングルマッチやってるんですけど、勝ってるんですよね(2017年)。きょう、偶然というかアクシデント的に流血してしまったんですけど、大阪城ホールで流血というと藤波さんなんですよね。前田選手のニールキックを食らって大流血してしまった藤波さんの印象があって、同じ会場でアクシデントではあるけども流血する内藤哲也というのは、何かこう藤波辰爾、武藤敬司ていう、正統派の流れを受け継いでるのかなって、そんなことも思いますよね」

 その通りだ。このコラムで書こうと直感した時に同じことを言われてしまった。1986年6月12日、IWGP公式リーグ戦での藤波辰巳・前田日明戦。同年のプロレス大賞ベストバウト(年間最高試合)に輝いた名勝負だった。大阪城ホールで生観戦したが、1日遅れの金曜夜8時の録画中継で興奮は増幅された。

 コーナーにもたれた藤波に前田のニールキックが炸裂。前田の右かかとが大車輪のように回転して藤波の右まぶたを直撃。藤波が右目を押さえたと思ったら血がドバッとあふれた。前田はドラゴンスープレックスなどで追い込んだが、ロープの反動を利用してのニールキックを藤波がキックで打ち返し、両者ダウン。レフェリーのミスター高橋が10カウントを数え、両者KOのドローとなった。

 流血のインパクトで試合は終わったが、ベストバウトになったのは、それまでの攻防が素晴らしかったからだ。内藤・KENTA戦も最後の流血の印象が強かったが、そこまでの因縁と試合展開に見応えがあった。昭和の興奮が令和に甦ったと感じたのは、当時小学生だった棚橋も同じだったのだろう。まさに金曜夜8時の世界だった。

 くしくもこの日、大会のインターミッションで、特報としてテレビ朝日の新日本プロレス中継「ワールドプロレスリング」がBSながら金曜夜8時のゴールデンタイムに復活することが発表された。4月からBS朝日で毎週金曜午後8時に1時間枠の「ワールドプロレスリングリターンズ」として放送されるというのだ。

 現在はテレビ朝日の地上波で関東地区では土曜深夜2時から30分録画ダイジェストで「ワールドプロレスリング」が放送されているが、テレビ朝日の前身、NET(日本教育テレビ)が、1969年7月2日の水曜日にスタートさせ、昨年50周年を迎えた。日本テレビの「日本プロレス中継」が、プロレス中継の代名詞だった金曜夜8時枠から撤退した1972年に、その黄金枠を継承した。

 この金曜夜8時枠は1986年9月19日の生中継を最後に撤退し、10月から月曜夜8時に移行。さらにこのゴールデンタイム中継も、1988年3月21日がレギュラー中継の最終回となった。藤波辰巳VS前田日明は録画だったが、”金曜夜8時枠“では最後のベストバウトになった。

 BS朝日「ワールドプロレスリングリターンズ」の番組紹介は、「地上波とBS朝日で好評放送中の『ワールドプロレスリング』を拡大し、テレビ朝日地上波で放送した試合の未公開部分も加え、メインの試合を長尺でお届け! さらに選手のインタビューなども含め、1時間のBS朝日オリジナル版で新日本プロレスの熱き闘いをたっぷりとお届けします。プロレスファンなら満足度100%です。どうぞご期待ください」とある。

 棚橋もコメントを寄せている。「金曜夜8時で復活しまーす! 家族みんなでご飯を食べながら是非プロレスを楽しんでください! 僕が小学校の頃かな…おばあちゃんと一緒にテレビで見て、楽しかった記憶があるので。そのね、いい時間帯、『金曜夜8時』! ご家族で楽しんで見てください!」

 CSテレ朝チャンネルのLIVEや完全版も悪くはないが、1時間に凝縮された興奮がいい。録画せずに、金曜夜8時を待ち構えて見るのがいいのだ。藤波辰巳VS前田日明のような名勝負が生まれてほしいものだ。(酒井 隆之)

コラムでHo!とは?
 スポーツ報知のwebサイト限定コラムです。最前線で取材する記者が、紙面では書き切れなかった裏話や、今話題となっている旬な出来事を深く掘り下げてお届けします。皆さんを「ほーっ!」とうならせるようなコラムを目指して日々配信しますので、どうぞお楽しみください。

格闘技

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS ショップ報知 マガジン報知 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真販売 法人向け紙面・写真使用申請