羽生が語った”再演”の覚悟「めちゃくちゃ怖い」…苦悩乗り越えスーパースラム

金メダルを手に笑顔を見せる羽生(カメラ・矢口 亨)
金メダルを手に笑顔を見せる羽生(カメラ・矢口 亨)
羽生の今季成績
羽生の今季成績

◆フィギュアスケート 四大陸選手権最終日(9日、ソウル)

 【ソウル(韓国)9日=ペン・高木恵、カメラ・矢口亨】男子はショートプログラム(SP)で世界最高得点を記録した羽生結弦(25)=ANA=がフリーも1位の187・60点、合計299・42点で大会初優勝を飾った。男子で初めてジュニアとシニアの全主要国際大会を制する“スーパースラム”を達成。五輪2連覇を果たした2018年平昌大会の「SEIMEI」が2年ぶりに復活。3月の世界選手権(18~22日・モントリオール)で王座奪回を目指す。

 襟や袖に緑が施された新衣装で、羽生は表彰台の真ん中に飛び乗った。過去3度は2位の大会を制し、男子初の“スーパースラム”を達成。「やっと勝ててよかった。フリーは満足いく演技ではなかったけど、ほっとした」。2年ぶりに18年平昌大会の「SEIMEI」を演じた五輪王者が、また新たな伝説を残した。

 演技直前、アクシデントに見舞われた。リンクに入って1周もしないうちに、氷にコンクリートがむき出しになるほどの穴を発見した。「どうしようかな」。一瞬考えた後、右手を挙げてジャッジ席に向かった。整氷後にスタート位置に立ったが、「1回集中が切れてしまった。気が散っている状態で入ったのが残念だった」。冒頭の4回転ルッツは手をつき、後半の4回転トウループで転倒した。

 羽生が編集にも携わり「ここでこうしたい」とイメージを膨らませながら演目をつくり上げるようになったのが15年の「SEIMEI」から。昨季のルール改正で30秒短い4分になった新作は、前半に4本のジャンプを集めたうえで、後半の曲のテンポのピッチを4%上げた。象徴的なシーンをすべて残すための工夫だった。さらなる音楽とジャンプの融合を目指す新生「SEIMEI」は、滑り込んでまだ1か月。進化の余地を残す。

 2位だった昨年末の全日本選手権後、正月は拠点のトロントで過ごした。練習でも並外れた集中力を発揮する羽生の気持ちが、整わない。「しばらく立て直せなかった。内発的動機が全くないので。なんか難しかった」。そんな時、以前のプログラムを何本か滑ってみた。「やっぱりスケートって楽しいな」。気持ちが戻っていくのを感じた。

 覚悟の代表作“再演”を決断した。「めちゃくちゃ怖い。最高の自分の状態と比べられちゃうんで。それよりも上にいけるようにと常に考えている」と打ち明けた。そして今、フィギュアスケートを新たなステージに引き上げつつある。「伝統芸能だとか語り継がれるものは、何回も何回もやる。バレエ、オペラも。自分もそういう道にいてもいいんじゃないかな。もっと極められるものもある」

 3月の世界選手権での4回転半(クワッドアクセル)投入については「壁は高くて確証はないけど、一応そのつもりではいる」と口にした。「アクセルは自分のプライド。ギリギリの難易度のところまで目指してやって、その上で『バラ1』(SPのバラード第1番)みたいなシームレスな(切れ目がないような)ものをつくりたい」。世界初の大技が宿った究極の「SEIMEI」の完成へ、羽生結弦は挑戦者であり続ける。

 ◆スーパースラム ジュニアの世界選手権、GPファイナルとシニアの五輪、世界選手権、GPファイナル、四大陸選手権(もしくは欧州選手権)を合わせた6冠を、キャリアの中で制すること。女子では韓国の金妍兒(キム・ヨナ)とアリーナ・ザギトワ(ロシア)が達成している。

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