速い方はより速く、そうでない方もそれなりに 厚底シューズの市民マラソン革命

「速い方はより速く、そうでない方もそれなりに」市民ランナー界にも革命を起こしたナイキの厚底シューズ
「速い方はより速く、そうでない方もそれなりに」市民ランナー界にも革命を起こしたナイキの厚底シューズ

 マラソン、駅伝で使用した選手が好記録を続出しているナイキ厚底シューズの新モデル「エアズームアルファフライネクスト%」が2月29日から発売される。カーボンプレート1枚が内蔵された靴底の厚さは英紙ガーディアン(電子版)によると3・95センチで、世界陸連が1月31日に発表したばかりの暑さ4センチ以内という新規則にギリギリ適合する。発売翌日の東京マラソン(3月1日)では日本記録保持者の大迫傑(28)=ナイキ=、前日本記録保持者の設楽悠太(28)=ホンダ=らが「ギリギリ超厚底シューズ」を使用する可能性があり、日本記録更新が期待される。

 注目度が高まる一方のナイキ厚底シューズ。現行モデル「ズームXヴェイパーフライネクスト%」を使用した選手は高いパフォーマンスを発揮している。昨年10月のロンドンマラソンではブリジット・コスゲイ(25)=ケニア=が2時間14分4秒で走破し、16年ぶりに女子世界記録を更新した。今年の箱根駅伝では出場210選手のうち177人(84・3%)が使用。7区間で計13人が区間新記録をマークしたが、そのうち12人がナイキ厚底シューズを使用していた。

 厚底シューズはアスリートだけではなく、市民ランナーにも広く浸透している。全国各地の市民マラソン界では大会新記録が続出中だ。

 元箱根駅伝ランナーの端くれ(ブレーキ連発でした)で、今は市民ランナーの私も昨年10月に購入(消費税込みで3万250円と値は張るが)。50代の部10キロの2レースで使用し、その威力を身を持って知った。昨年12月の埼玉・川口マラソンは36分23秒。1月の栃木・高根沢マラソンは37分37秒。満足できるタイムで、ともに前年の優勝記録より速かったが、3位と5位止まりだった。高根沢で勝負した東海大・両角速監督(53)は35分40秒の大会新記録をマークしたものの、それでも2位。「箱根駅伝も高根沢も大会記録だけど、2位か」と、思わず苦笑いした両角監督を含め、両大会で上位のオジさんランナーの90%以上がナイキ厚底シューズを履いていた。

 自分で言うのも何ですが、私は市民ランナーの中では上位の部類に入る。このレベルではナイキ厚底シューズの効果を得られると実感する。平均より走力が劣るランニング仲間も厚底シューズを履き始めた。彼は「ちょっと恥ずかしいけどね」と言いながらも前年よりタイムを大幅に縮めた。

 レースで厚底シューズを履いて走っている時、私は、樹木希林さんが出演していた富士フイルムのテレビCMを思い出した。「美しい方はより美しく、そうでない方はそれなりに写ります」

 ナイキの厚底シューズは「速い方はより速く、そうでない方もそれなりに速く走れる」と思う。市民マラソン界にも“革命”を起こした。

 厚底シューズの話題を契機にランニングを始める人もいるだろう。個人的には初心者はカーボンプレートが入っていない普通のランニングシューズをお勧めする。しばらく練習を積んだ後に厚底を履けば、その違いがより分かると思う。ただ、ランニング通の中には、初心者でもいきなりカーボンプレート入りの厚底シューズを履いて走ることの楽しさを感じてほしい、と唱える人もいる。いずれにしても、ランニング人口が増えれば、これも“市民マラソン革命”の効果のひとつで素晴らしいことだ。

 ただ、当たり前のことだが、厚底シューズは決して魔法のシューズではないことを改めて強調したい。練習をせずに速くなるわけではない。競技レベルには大きな違いがあっても、その大原則は同じである。アスリートは身を削るような努力を重ね、市民ランナーは時間を削って走っている。

 きょう、私もこれから走りに行きます。

(記者コラム・竹内 達朗)

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