現役最後の瞬間まで実直さ貫いたビジャ

神戸・ビジャ 
神戸・ビジャ 

 J1神戸がクラブ史上初のタイトルを獲得した元日の天皇杯決勝戦。試合中、何度も視線をベンチ横のウォームアップゾーンに移した。元スペイン代表FWダビド・ビジャ(38)にとって、現役最後の試合。そのことを気にするそぶりは少しも見せず、ピッチを真剣に見つめる姿に、昨季までクラブでスペイン語通訳を務めた神蔵勇太さん(33)から聞いた話を思い出した。

 1か月前に全治4週間のけがを負っていたビジャ。決勝戦の数日前、電話で「俺はメンバー入りしなかったら、試合後はどうなるんだ?」と尋ねてきたという。神蔵さんは「そんなの、ビジャでしょ?て話なんですけど、彼は本気で悩んでいたんです。自分の引退興行だなんて、みじんも思ってない。彼の天皇杯への姿勢はマジで全身全霊なんです」と強調した。自らのキャリアにおごることなく、真摯に日々の練習や試合に取り組む性格がにじみ出ていた。

 練習が始まる前は、クラブハウスでストレッチ、エアロバイク、筋トレに励むのがルーティーン。準備の大切さを実感しているからこそ、米ニューヨーク・シティー時代から続けている。シーズン中、何度か負傷離脱したことがあったが、復帰する際には「俺がメンバーに入れる保証なんてない。だから練習をしっかりやらないといけないんだ」。また別の機会には「一生懸命じゃない俺だったら、代わりはいくらでもいる。100%以上でプレーするから、自分は選手としての価値がある。それをやめたら俺じゃなくなる」と話すこともあったという。公私でサポートする機会が多かった神蔵さんは「僕の認識だと、彼はサッカーを極めた人。そんな彼のサッカーへの志や向き合い方は、すごく参考になった」と一緒に過ごした1年を振り返った。

 年齢は記者より2歳上ながら、リーグ戦ではチームトップの13得点をマーク。2010年南アフリカW杯得点王の偉大さはスタジアムで何度も体感したが、それ以上に見聞きして知った実直な人柄に尊敬の念を抱いた。決勝戦の翌日、神戸に凱旋して優勝報告会に出席すると、各社の担当記者との記念写真に快く応じてくれたビジャ。世界的ストライカーの背中を少し後ろから見ながら、ラストシーズンに関われたことを幸せに思った。

(記者コラム・種村 亮)

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