“奇跡の67歳”高橋祥泰調教師 桜花賞候補スマイルカナに寄せる思い

高橋祥泰調教師
高橋祥泰調教師

 競馬担当として最初に茨城・JRA美浦トレーニングセンターへ足を踏み入れてから、30年が過ぎた。7月の誕生日で59歳。心身とも衰えは隠せず、見た目の老化も目立つようになった。

 一方で、30年前の“出会い”からスマートな容姿を保ち続け、競馬記者の誰もが認めるイケメン・ホースマンがいる。1月13日に中山競馬場で行われたフェアリーS・G3をスマイルカナで優勝した高橋祥泰(よしやす)調教師。2003年の根岸S(サウスヴィグラス)以来、17年ぶりに重賞の表彰台でフラッシュを浴びた。

 身長171センチ、体重58キロというスリムな体形で、ワイドショー流に言えば“奇跡の67歳”。JRA重賞の勝利間隔では2番目に長い記録だったというのに、ゴールの瞬間を振り返る言葉も、考えられないほどクールだった。「次は、どのレースを使うのか。それに向けて、どう調整していこうか…。興奮するというより、まず頭に浮かんだのは、そのことでした」

 モットーは「毎日、丹念に丁寧にやるだけ」。これは騎手として561勝、調教師として520勝(いずれもJRAでの数字)を挙げた父・高橋英夫氏(故人)の教えだという。サラブレッドと誠実に向き合いながら、その瞬間を淡々と積み重ねていく。重賞制覇を果たしても、冷静に次へと思いを向けた訳が理解できるような気がする。

 スマイルカナがマークした3勝は、いずれも逃げ切り。控える競馬を試みた昨年11月の赤松賞は7着に終わっている。「これだけのスピードがあるということを、我々の方が分かっていなかった。人間が『こうなってほしい』『こうあるべきだ』と考えても、サラブレッドというものは、そこに収まり切る存在ではないんでしょうね」。数少ない芦毛のディープインパクト産駒。体重は420キロ前後と小柄だが、「見た感じでは450キロくらいに映る」というあたりにも、「個」としての強い力を感じる。

 春の一番の目標は、もちろん桜花賞・G1(4月12日、阪神競馬場)だ。厩舎を開業して2年目だった1984年のダイナシュガー(18着)以来、2度目となる桜の華やぎの中へ。「ここから先は、別の世界。強い馬の中に入って戦うことになりますからね」と端正なマスクを引き締めた。

 2年後に迎える定年を前にして巡ってきた大きなチャンス。“奇跡の67歳”の演出で、意外性に満ちたストーリーが展開されることを期待している。(記者コラム・浜木 俊介)

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