19年ドーハ世界陸上女子1万メートル代表の新谷(にいや)仁美(31)=積水化学=が19日、アラムコ・ヒューストンハーフマラソン(米国)に出場し、1時間6分38秒(速報値)の日本新記録で優勝。2006年に福士加代子(37)=ワコール=がマークした1時間7分27秒の日本記録を14年ぶりに更新し「日本記録が出せてうれしい」と笑顔を見せた。
序盤は強い向かい風の中でのレースとなったが、ペースメーカーを務める宇賀地強(32)=コニカミノルタ=とともに1キロあたり3分7秒前後のラップを刻んだ。5キロを15分37秒、10キロを31分11秒で通過。「外国の選手たちもペース作ってくれて、いい条件で走れました」と日本記録を超えるペースで安定していた。
15キロを47分3秒と、この間の5キロが15分52秒とペースは落ちたが、集団を抜け出してトップを独走。20キロを1時間3分13秒で通過。宇賀地の完璧なペースメイクに乗り、珍しくガッツポーズで歓喜のゴールテープに飛び込んだ。
12日には都道府県対抗女子駅伝で東京チームの2位入賞に貢献したばかり。15日に出国する際には「順位よりタイム。67分前後で走って(主戦場の)1万メートルにつなげたい」と気合十分だった。ドーハ世界陸上後にはハーフマラソンへ向けてレースは控え、地道に距離を踏んだ。「あくまで1万メートルのペースは崩さずに取り組んだ。そうすることで、ハーフマラソン後には練習を楽に感じられると思う」とスピード持久力は維持。1日の走行距離を30キロ前後として、体を仕上げた。
指導する男子800メートル前日本記録保持者の横田真人氏(32)=TWOLAPS=も「ドーハ後はケガなく順調に来ている。この3か月でこなせなかった練習は1回くらい。すごすぎるので『絶対いけるよ』と言っています」と話していただけに、大記録にも納得だ。
レース後のインタビューでは「ヒューストン大好きです! アイラブユー…じゃなくてヒューストン!」と新谷らしい明るさは健在。26日には大阪国際女子マラソンで12キロまでペースメーカーを務める予定だ。東京五輪代表選考(MGC)ファイナルチャレンジのうちの1戦で、代表3枠目を争うレースの1つ。日本新で勢いに乗る新谷が女子マラソン界も後押しする。