【竹内記者が厚底を履いた】問題は禁止と雪と値段!?

今年の箱根駅伝のスタート風景。多くの選手がナイキの厚底シューズを履いていた
今年の箱根駅伝のスタート風景。多くの選手がナイキの厚底シューズを履いていた

 第96回箱根駅伝に出場した210選手中177人、実に84・3%がナイキの「ズームXヴェイパーフライネクスト%」を履いた。カーボンプレート内蔵の厚底シューズは、絶妙な反発により驚異的な推進力を生む。区間新記録連発の要因のひとつだったのは確かだろう。

 東洋大出身で元箱根駅伝ランナーの端くれ、今は市民ランナーの私も昨年10月に購入。10キロ(50代の部)の2レースで履き、威力を実感した。12月の埼玉・川口マラソンは36分23秒。1月の栃木・高根沢マラソンは37分37秒。ともに前年の優勝記録より速く納得のタイムだったが、3位と5位。高根沢2位の東海大・両角監督を含め上位のオジさんランナーのほとんどがナイキの厚底を履いていた。

 市民マラソン界も席巻する革新的シューズだが、今、3つの問題が浮上している。

 【〈1〉禁止?】 複数の英メディアによると、世界陸連の新規則によって禁止される可能性があるという。競泳界では08年北京五輪前に英スピード社の高速水着「レーザー・レーサー」を着用した選手が世界記録を連発。その後、国際水連によって禁止された例がある。世界陸連の対応が注目される。

 【〈2〉雪に弱い?】 東北の高校駅伝強豪校のある監督は「雪に弱い」と指摘する。1月上旬、スピード練習中に雪が降り始めると、選手に異変が見られたという。「靴底が滑って前に進まない。見たことがない挙動をしていた。雪道をノーマルタイヤで走るようなもの」。大学にも多くの選手を送り出している同監督は「今回、もし箱根山中で雪が降っていたら5区と6区で大変なことになっていただろう」とも話した。5区では15人、6区では18人がナイキ厚底を使用。土砂降りだった昨年11月の1万メートル記録挑戦会では同シューズで好記録が続出しており、雨では問題はないが、雪ではどうか。来年も厚底シューズが使用できた場合、天気予報に敏感になる必要はある。ナイキ関係者は雪での“弱点”について「現時点で聞いていません」と慎重に話した。

 【〈3〉高校生以下には高額】 同シューズは消費税込みで3万250円。従来のレース靴(1万~2万円)に比べると高額だ。箱根駅伝レベルの選手なら、厚底を履かない少数派は自らの意思で別の靴を選択している。大人の市民ランナーもお小遣いをやりくりすればいい。だが、高校生以下は事情が異なる。前出の監督は「うちのチームは約90%の選手が履く。履いていない選手は経済的な事情が理由。指導者として心が痛む」と話す。中学生、あるいは小学生でも厚底を履く選手がいる。経済格差が競技格差に直結してはいけないはずだ。

 現状、3つのうち〈3〉が最も難しい“問題”だと思う。(編集委員・竹内 達朗)

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