【小池啓之の高校野球見聞録】駒苫時代から不変 田中将大の強み 諦めない気持ちと修正能力

駒大苫小牧時代の田中将大
駒大苫小牧時代の田中将大

 今回は投手のメンタル面について考えたい。ニューヨーク・ヤンキースのエース、田中将大。知っての通り、彼は駒大苫小牧高の主戦として2005年夏の甲子園で優勝した。確かに140キロ超のストレート、選手が「消える!」と言うスライダーなど、当時も超高校級の投手だった。

 しかし、私が最も強く印象に残っているのは、彼の「勝負」に対するこだわりだ。私が指導者だった時に、彼とは何度も練習試合などで対戦しているが、1点も取れなかった。「練習試合でも絶対失点しない」という強い気持ちが伝わってきた。

 高校時代から現在に至るまで、彼の座右の銘は「気持ち」だそうだ。道内の投手には素晴らしい手本として見習ってほしい。プロ野球の楽天、そしてメジャー最高のチームで大活躍しても、気持ち、メンタル面を大事に考えている姿勢は尊敬に値する。「エース」と呼ばれる選手はチーム内で最も自らを追い込める選手だ。

 その姿勢を他の選手たちは見ている。そこからエースに対しての信頼感が生まれてくる。野球は1人ではできない。仲間がエースに絶大な信頼を持っているチームは強い。エースの真価は調子が悪い時のピッチング。負けたら終わりの高校野球では「絶対勝つ!」の気持ちがモノを言う。そのためには、最後まで諦めない粘りと修正能力が必要だ。

 修正能力を持つには、引き出しの多さも要る。それは、毎日の練習で生み出されるものだ。試合で思うような投球ができない時、いかにピンチを切り抜けるか。反省や心構え、日常の生活での気付きや他人への思いやりなどが引き出しの数につながり、ピンチの時に必ず生きてくるだろう。練習とともに家庭、学校生活の小さなことの積み重ねが「甲子園」につながる道なのだ! 冬の練習は厳しいと思うが、何事も前向きに取り組んでほしい。(元甲子園監督)

 ◆小池 啓之(こいけ・ひろゆき)1951年11月15日生まれ。68歳。東京・品川区生まれ。兵庫県市立尼崎高から駒大を経て77年から旭川龍谷コーチ。甲子園は78年夏にコーチ、83年夏に監督で出場した。98年から鵡川に赴任。02年は部長としてセンバツ出場。同年8月に旭川南の監督に就任。07年は元日本ハムの浅沼寿紀(現・紋別市職員)を擁してセンバツ出場。昨年7月に勇退。

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