ライガー引退試合の東京ドームに流れた昭和のテロップ…金曜8時のプロレスコラム

藤原喜明の入場時に流れた猪木戦のVTRと昭和のテロップ
藤原喜明の入場時に流れた猪木戦のVTRと昭和のテロップ

 マスクマンのレジェンド、獣神サンダー・ライガーの引退試合が4、5日、新日本プロレスの東京ドーム大会2連戦「WRESTLE KINGDOM 14」で行われた。

 両日とも第1試合で行われ、4日は、ライガー、藤波辰爾、ザ・グレート・サスケ、タイガーマスクWITH(セコンド)エル・サムライVS佐野直喜、大谷晋二郎、高岩竜一、田口隆祐WITH小林邦昭、5日はライガー&佐野WITH藤原喜明VS高橋ヒロム、リュウ・リーというカードだった。

 リングアナウンサーを田中ケロが務めたことで盛り上がったが、1人ずつの入場の際に、入場テーマとともに、オーロラビジョンに映像が映し出された。過去の名勝負のダイジェストとともに、リングネームを書いたテレビ朝日「ワールドプロレスリング」名物の黄色い筆文字が躍った。昭和の金曜夜8時の黄金時代を知る者としては、興奮せずにはいられない。初期は白で、赤、黄色、赤などと推移していったテロップだが、黄色こそ、初代タイガーマスクVS小林邦昭、藤波VS長州力、アントニオ猪木VSはぐれ国際軍団のプロレスブームの時代だった。

 藤波の入場テーマ「ドラゴンスープレックス」が12年ぶりに東京ドームで流れ、米MSG(マジソン・スクエア・ガーデン)でWWFジュニアヘビー級王座を奪取した時(1978年)の映像が流れた。そして黄色いテロップだが、残念だった。昭和時代の「藤波辰巳」ではなく、今は1990年(平成2年)に改名した「藤波辰爾」のリングネームになっていたからだ。

 「佐野巧真」に改名している佐野がライガーと抗争していた時代の「佐野直喜」としてリングに上がったように、この試合限定で「藤波辰巳」にしてほしかった。ライガーと抗争していた「佐野直喜」の時代は、テロップは赤が主流だった。この2連戦でのテロップは、ライガーのみが赤で、他の選手は黄色だったが、佐野も赤が似合っていた一人だ。

 だからこそ、2日目に期待した。そう、藤原喜明である。70歳になった藤原組長は、胃がんを克服してなお現役レスラーだ。この日はセコンドだが、レジェンドレスラーは、入場だけで金が取れる存在なのだ。

 田中ケロの独特の抑揚あるコール。1994年の1・4東京ドーム(長州力戦)での名口上「新年、明けまして、藤原喜明でございます」は飛び出さなかったが、「ワルキューレの騎行」の旋律が響き、オーロラビジョンに出た「藤原喜明」の黄色い筆文字。映像はアントニオ猪木戦だ。一本足頭突きが渋すぎる。藤原組の黒いジャージー姿の組長が、バックスクリーン側のステージからリングにつながる長い花道をゆっくりと歩いてリングイン。ドームの花道を歩くのは26年前の長州戦以来か。「問答無用の仕事師」「関節技の鬼」というテロップも出てきてもおかしくない空気感だった。

 選手コールの後、リングから下りて弟子であるライガーの最後の試合を見守った。先発したライガーは、いきなり高橋と対戦。ロックアップで組み合い、グラウンドの攻防を展開した。弓矢固めからロメロスペシャルを決めるとドームは大歓声に包まれた。一方の高橋もリーとの2人掛かりのストンピングなどで反撃し5分過ぎまでライガーは1人で戦いを余儀なくされ孤立するピンチに。

 リング下で微動だにしない藤原。乱入を期待する雰囲気でもない。何とか佐野にタッチし再びリングインしたライガーは高橋とエルボー合戦。パワーボム、掌底打ちで攻めたが、高橋に反撃され、最後は「TIME BOMB2」でフォールされ、見事に引導を渡された。

 ライガーはリング上でマイクを持って「平成元年、この東京ドームでプロレスラー獣神サンダー・ライガーは生まれました。そして、今日、この東京ドームでプロレスラー獣神サンダー・ライガーは終わりました。31年間、応援して頂きましてありがとうございました」とあいさつした。入場テーマ曲「怒りの獣神」が流れ、三塁側ダッグアウトへ下がった。

 ライガーの後を下がってきた組長に「素晴らしいことですね」と声をかけると「おう」と照れくさそうに笑った。ブルペンの会見場でマイクを持った藤原は「いやぁ、ただ寂しいだけでね。何か助けにいくことも、反則になっちゃうと困るし。まぁ、ケガなくずっとやれたことは、おめでとうということですね」「俺を使うんならセコンドじゃないだろうと思ったけど、違うんだね」「(試合は)あまり見ちゃいないんだよね。けがしないだろうなとかね、一番最後の最後の最後でね。だから心配で、心配で」そして最後に「ありがとう、それだけです」と自分より先に引退する弟子をねぎらった。

 ライガーは「藤原さんに言われました。健康なうちに、歩けるうちに引退できてお前は幸せだって」とコメントした。平成を駆け抜けたライガーは、黄色いテロップが似合う「昭和のテロリスト」を令和に輝かせてみせた。(酒井 隆之)

 ◆新日本プロレス「WRESTLE KINGDOM14 in 東京ドーム」」大会(4日・東京ドーム、観衆4万8人=満員)

 ▽獣神サンダー・ライガー引退試合1・8人タッグマッチ60分1本勝負

 〇田口隆祐、佐野直喜、大谷晋二郎、高岩竜一(8分52秒 どどん→エビ固め)藤波辰爾、ザ・グレート・サスケ、タイガーマスク、獣神サンダー・ライガー●

 ◆新日本プロレス「「WRESTLE KINGDOM14 in 東京ドーム」」大会(5日、東京ドーム=観衆3万63人)

 ▽獣神サンダー・ライガー引退試合2・タッグマッチ60分1本勝負

 〇高橋ヒロム、リュウ・リー(12分16秒 TIME BOMB→体固め)佐野直喜、獣神サンダー・ライガー●

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