過熱した今オフのストーブリーグ 楽しみな「球春」

ゲリット・コール(ロイター)
ゲリット・コール(ロイター)

 スポーツ報知の紙面で約17年間、好評を博してきた出村義和さんの「MLB コラム」が、今年からネットに場所を移して新装開店。紙面では月2回でしたが、月3回(10日、20日、30日に更新)にバージョンアップ。米国でのメジャー取材歴30年を超える出村さんの、今のメジャーを斬る、ちょっと辛口のコラムをお楽しみください。

 現地報道を毎日チェックすることが楽しい。こんなオフシーズンは久しぶりだ。特にこの2年、ストーブリーグはすっかり冷え込み、結果的にはFA、トレード市場などで選手が動いても、レギュラーシーズに限って言えば『雇用の流動化』が戦いの活性化に繋がらなかったような気がする。今オフは消極的な戦力強化のアプローチが一転、投手として史上最高額の9年総額3億2400万ドルの契約を交わしたゲリット・コール(ヤンキース)を始めとする大物FAの激しい争奪戦が示すような積極攻勢で一気に興味深いものになった。

 ストーブリーグを盛り上げたのは、低迷を続け、昨季も大差をつけられて敗れ去ったチーム。目を見張ったのは地区優勝のツインズから28・5ゲーム差で3位、7年連続負け越しのホワイトソックスだ。首位打者になったティム・アンダーソンら伸び盛りを抱え、機は熟したとばかりに大攻勢に打って出た。強打の捕手ヤズマニ・グランダル、サイ・ヤング賞投手ダラス・カイケルを獲得する一方で主砲ホセ・アブレイユのFA流失を食い止めるなど、今オフは30球団トップの強化費をつぎ込んだと推定される。また、エース不在のダイヤモンドバックスとレンジャーズはそれぞれマディソン・バムバーナー、コリー・クルーバーと実績十分の大物をゲットして課題をクリアした。新たにチャレンジする日本人選手が移籍する3チームもストーブリーグを熱くした。二刀流復帰を目指す大谷翔平のエンゼルスはFAの野手ナンバーワンで強打好守のアンソニー・レンドンでアップグレード。1番打者の期待がかかる秋山翔吾の入団したレッズは強打のマイク・ムスタカスら適材を集め、山口俊がマウンドに立つブルージェイズは柳賢振、タナー・ロアークを加えて投手陣を強化した。この5チームがこうした新戦力によって戦力アップするだけでも懸念されてきた実力格差が解消されるどころか、大混戦もあり得る面白いペナントレースになるだろう。

  キャンプまで1か月以上もあるのにワクワクしてくるが、この先には残念ながら暗雲が垂れこめている。サイン盗み疑惑だ。疑いのかかっているアストロズには2週間以内に厳罰が下る見通しだ。さらに3年前のヤンキース戦でハイテク腕時計を使いサイン盗みをして処分されたレッドソックスにも新たな疑惑が発覚。これが2回目の違反となることから、アストロズ以上の厳しい処分になるとの見方もある。17年、18年のチャンピオンチームの不祥事にMLBのイメージダウンは避けられそうにない。MLB機構がどんな処分を下し、ダメージコントロールをしていくのか。ファンは高まる期待と不安が交錯する中で『球春』を迎える。

出村 義和
 (でむら・よしかず)1971年、ドジャースタジアムでMLB初観戦。ベースボールマガジン社でアメリカ総局勤務、週刊ベースボール編集長などを務める。独立後、ニューヨークをフランチャイズに19年間MLBを中心に多岐にわたるジャンルで取材、執筆を行う。帰国後、JスポーツでMLB中継の解説者も務める。

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