【担当記者が見た】新装・国立競技場、ピッチと絶望的な距離

スポーツ報知
新しい国立競技場で令和初の天皇杯王者となった神戸イレブンは、サポーターと一緒に喜びを爆発させた(カメラ・宮崎 亮太)

 新しい国立となって初開催された天皇杯決勝戦。かつてサッカーの「聖地」と呼ばれた旧国立からの変化をサッカー取材歴17年の内田知宏キャップが「見た」。

 いつも国立競技場に来たと感じるのは、鼻からだった。サッカー記者として11年、通った旧国立。報道陣の通用門を通る時には、近くにあるラーメン店から豚骨のにおいが届き、プレスルームは禁煙となってずいぶんとたつのに黄ばんだ電話線と貼り紙からヤニ臭さが漂う。そこから10メートルも行けば選手のロッカールームがあり、引き揚げてくる選手の生の声や汗臭さも感じることができた。

 元日、生まれ変わった国立で、初めて開催された天皇杯決勝を取材した。国立で取材するのは、改修に入る前の2014年3月に行われた日本代表―ニュージーランド戦以来だから、約6年ぶり。椅子も机もピカピカで無臭。陸上トラックがある競技場としては見やすい部類だが、ピッチ外を含めて、選手の声、においを感じるには絶望ともいえる距離があった。

 メインスタンドを背に右手を見れば、大きなゲートがスタンドまで食い込むように設けられている。陣取った鹿島サポーターが分断されているように映り、躍動感は分断されていない逆サイドの神戸に分があったように思う。かつてサッカーの「聖地」といわれた国立と、0歳の新しい国立を比べるのは筋が違う。そうは分かっていても、サッカー専用スタジアム化が進む現代において試合を見るには十分だが、試合に入り込むには不十分。サッカー界で再び「聖地」といわれるだけの歴史を紡ぐことができるか、不安を覚えた。(内田 知宏)

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