超高校級だった帝京・杉谷拳士の「コメント力」

東東京大会開会式で選手宣誓する帝京・杉谷拳士
東東京大会開会式で選手宣誓する帝京・杉谷拳士

 アマ野球担当として春夏通算18度、甲子園大会を取材し、何百人もの高校球児に話を聞いてきた。中でも「別格」ともいうべき男がいた。現日本ハム、帝京の杉谷拳士内野手だ。攻守ともに魅力的だったが、それ以上に超高校級なのが「コメント力」だった。

 スポーツ報知の紙面を初めて飾ったのは、1年生遊撃手として迎えた2006年夏の甲子園3回戦・福岡工大城東戦だ。6回の守備で打球が右の頬を直撃したが、試合終了までグラウンドに立ち続けた。診察の結果、右頬骨の骨折で全治3週間―。

 談話はこうだった。

 「左フックを受けた感じ。痛がったら代えられる。立ち上がって、やれることをアピールしました」

 父・満さんはボクシング元WBA世界フェザー級1位。闘争心も父譲りだった。

 杉谷は骨折にも負けず、2日後の準々決勝に出場。12―13の歴史的死闘の末、智弁和歌山に敗れてしまう。帝京は主力投手を使い果たし、杉谷も9回裏に5番手救援。初球が死球となり、1球で降板する。だが直前の9回表、一度は逆転となる2点適時打を放ったのだ。この時のコメントもいい。

 「またイレギュラーバウンドが来たら、左頬で止めればいいと思いました」

 もはや新約聖書におけるイエスさまの境地だ。

 杉谷さまは2年秋からは主将を任され、3年夏の東東京大会開幕では堂々と選手宣誓を行う。

 「誰もが夢見る甲子園を目指して戦う最後の夏。東京を熱くします」

 大役を終えると開口一番、報道陣に言った。

 「美声が発揮できました」

 当時の紙面には満さんが杉谷に贈った言葉も紹介されている。

 「勝負ごとに2番、3番はいらない。やるからには1番を取れ」

 大勢の高校球児の中でもコメント力、栄光の第1位とさせていただきます。(野球デスク・加藤 弘士)

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