将棋の第45期棋王戦挑戦者決定2番勝負第2局が27日、東京都渋谷区の将棋会館で行われ、後手の本田奎(けい)四段(22)が106手で佐々木大地五段(24)に勝ち、初のタイトル挑戦を決めた。来年2月1日に開幕する5番勝負で渡辺明棋王(35)=王将、棋聖=に挑む。規定により同日付で五段に昇段した。
昨年10月に四段(棋士)昇段したばかりの本田が棋士としては先輩に当たる藤井聡太七段(17)より先に大舞台への切符を得た。棋王戦初参加のため、史上初の「当該棋戦初参加」でのタイトル挑戦。四段昇段からの期間としては1989年に屋敷伸之九段(47)が棋聖戦で挑戦者になった時の1年2か月11日に次ぐ1年4か月0日(来年2月1日の第1局時点)で史上2番目のスピード記録となった。
挑戦者決定戦の対局開始時に四段だった棋士が挑戦者になるのは1992年に郷田真隆九段(48)が棋聖戦で挑戦者になった時以来、28年ぶり2例目となった。
対局後の主な質疑応答は以下の通り。
―棋戦初参加、史上2位のスピードでの挑戦になった。
「記録として残るならうれしいです。ここまでやれるとは思わなかったので、結果を残せてうれしいです」
―実感は。
「まだ実感はないです。挑戦者の実力ではないので運が良かったです」
―渡辺棋王の印象は。
「序盤から相手を引き離している印象で、なおかつ中終盤の精度が高い。棋界でも最強と言える棋士。ボロボロに負けるのは情けないので、なんとか勝負になるように」
―ソフト研究の深さで知られる。
「たしかに研究によって序盤をリードする棋風ですけど、想定通りにはなかなかいきません。(ソフト研究の成果は)研究勝ちよりも、未知の局面での対応力につながっていると思います」
―藤井七段より先にタイトル挑戦を決めた。
「将棋の内容では劣っていますし、追いついた気も全くしません」
―将棋ファンに。
「ようやく『お前誰なんだよ』という感じではなくなってきたのかな…と」
―タイトル挑戦についてあたらめて。
「ゴールだとは思っていません」