浜松日体高OB、箱根駅伝に最多10人登録の理由とは

選手には自分で考えることをモットーに指導する浜松日体の北條監督
選手には自分で考えることをモットーに指導する浜松日体の北條監督
浜松日体出身の箱根駅伝登録選手
浜松日体出身の箱根駅伝登録選手

 第96回箱根駅伝(来年1月2、3日)の登録メンバーが発表された。浜松日体高OBは、全国最多となる10人が名を連ねた。県高校駅伝では16年連続3位以内と安定した成績を残すが、ここ5年で全国高校駅伝出場は1度のみ。なぜ、多くの卒業生が大学で成長を続けるのか。就任5年目の北條尚監督(32)にその秘密を聞いた。(取材・構成/塩沢 武士)

 夕暮れ沈むグラウンドで隊列を組んで走る教え子たちを、北條監督が真剣なまなざしで見つめる。授業が終わった午後4時過ぎ。練習が「いつのまにか」始まるのが浜松日体流だ。指揮官は「練習前に集まって指示することはありません。メニューは前の日の昼休みに、マネジャーが持ってきます。基本は選手たちが話し合ったのをそのまま目を通すって感じです」と明かした。

 試合がない限りは基本、オフは週に2日。練習時間も約2時間半と短期集中型だ。「全国の強豪と言われるチームの半分ぐらいじゃないですか。県内の高校に比べても少ないですよ」。ではなぜ、箱根駅伝の登録選手が全国最多なのか。問い掛けにしばらく考えた北條監督は「中学の先生たちが、選手の素養を作って、大学の先生たちが伸ばしてくれるからでしょう。僕は駅伝のようにタスキをつないでいるだけ。高校で無理にやらせない。ただ、自分で『考える力』をつけさせるようにしています」と話した。

 それは、自身が明大時代に最も感じたことだった。大学で伸びる選手には、自らの考えと大学の指導者の考えをすりあわせる能力が必要だという。高校時代から、強制的にやらされた練習で伸びても、それは一過性だと感じている。

 「僕は自分を監督というより、顧問だと思っている。個人的に監督というと、どこか前に出て指示をする、という意味合いが強いけど、顧問はただの部活の責任者。それでいいと思う」

 もちろん、伝統の力は選手を育てる大事な要素であることは認めている。指揮官が一番重視するジョグの練習では、速い上級生の後ろを下級生が走る。「強くなりたいと思う選手は、自然と気持ちが変わる。そして、走りも変わってくる」。先輩の背中を見て、気持ちの変化が生まれる、その瞬間もじっと見守っている。

 ちょっぴり本音も吐き出した。「勝ちたいという思いもありますよ。でも、勝つことを目指して頑張ることが大事。言いたいことを言えないのも本当は苦しい。教えるのは楽だけど、ただ、自分から気づくことと、指示されるのは全然違う。選手と話をする時も、まずは、今、どう感じるかを聞くようにしています」

 最後に、「高校生には高校生のレベルにとどめておくのもある意味大事だと思う」と話した指揮官。筋力も未発達の段階であまりに、タイムを追いかけるのはどうかと疑問を投げかける。将来性を考えた指導法が、大学での飛躍の一端であることは間違いないようだ。

 ◆北條先生はいつも「考えろ」と

 早大・太田智樹(4年)「(浜松日体高卒業の選手が)多いな~ぐらいしか思いませんね。そもそも高校の指導法が大学、社会人でも伸びるような指導法だと思うので、それが生きているのかな。与えられたメニューをこなすだけ、要求されたことに答えるだけではなく、自主性を重んじて、各自で考えたメニューをしたり、生徒から先生に提案することもありました。北條先生は、いつも、口癖のように『考えろ』と言っています」

 ◆自分をコントロールできる力

 日体大・亀田優太朗(3年)「先生に与えられたメニューを漠然と、こなすのではなく、自分でメニューを考えることもありました。それが、自由な時間が多く、自分で考えることが多くなる大学生の競技生活において、生きているのでは、と思います。自分をコントロールできる力を高校時代に身につけることができました」

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