ATSUSHIが見据える未来「子供のことを思って書いた」新曲…EXILEの歴史、喉の手術、存続危機語った

本紙インタビューに答えるATSUSHI(カメラ・小泉 洋樹)
本紙インタビューに答えるATSUSHI(カメラ・小泉 洋樹)

 EXILEのシングル「愛のために~for love, for a child~」が来年1月1日に発売される。作詞を担当したボーカルのATSUSHI(39)は「養護施設に足を運ぶようになって考える事もあり、子供のことを思って書いた」という。結成メンバーとしてグループを牽引してきたが「HIROさん始め、先輩や仲間がいたからできている」とも。ポリープの手術と自律神経失調症の2度の病気も乗り越え「結果として今の自分に取っては必要なものだった」と振り返った。EXILEのレジェンドが今思うことに迫った。(国分 敦)

 2020年の幕開けを飾るシングルは、制作段階で迷いながらの出発だった。

 「今回は『パーフェクトイヤーに向けて、EXILEの代表曲になるような作品があったらいいね』というのがスタートでした。ライブの最後の曲なのか、それとも最初か真ん中で歌うのか。みんな迷いがあった中でSHOKICHIが差し込んでくれた曲が、しっとりし過ぎず激し過ぎず。みんなで楽しく歌えたらいいものになると思って『作詞に挑戦させてもらっていいですか』とグループライン入れました。最初はフィナーレでみんな手を振っているイメージだったんですが、段々とパフォーマーチームも思いが湧いてきて『しっかり振りを作って、15人で表現したらいいものができる』と言ってくれて、そこからバーっと一気に盛り上がりました」

 タイトルにfor a childとあるように、詞には子供たちへの深い思いが込められている。

 「EXILEのシングルになると、やはり聞き馴染みのいいモノになりますね。親子で来て下さる方もいらっしゃるし世代も広くなっていますから。作詞もソロとは若干違って自然と広い視野にはなります。来年自分は40歳を迎えますから、自然に社会貢献活動にお声が掛かったりする年齢にもなっています。自発的に立ち上がる必要性を感じていて、最近は養護施設に足を運んだりしています。そこに入所しているのは虐待だったり家庭環境に問題があるのが子が大半なんです」

 施設に通って子供たちに触れ合うことで感じる事も多いという。

 「実際、行ってみると意外に子供たちは明るいんですね。もちろん闇は抱えているでしょうが、同じ境遇の18歳までのお兄さんお姉さんがいて昭和の大家族のように共同で暮らして、一般家庭で育っている子よりも明るい感じがします。でも心のどこかに愛情を求めている部分があるのか、特に5~10歳の子はすごくスキンシップというか自分に触れてきます。僕もうれしくなって、また来ようという気になります。新曲の歌い出しが「いつか準備が出来てから 始めようって決めてたけど―」です。苦しんでいる人がたくさんいて、一人でも幸せになるのならすぐにでも始める意味がある。そういう思いで詞を書きました」

 ―子供は好き。

 「ウチの会社(LDH)はダンススクールをやっていて、子供たちとステージに上がったりすることも多く、その子たちが『Happiness』『Flower』でデビューしたり、オカザイルで踊っていた小森隼が『GENERATIONS』になっていたりとか。まだ親にもなっていないですけど、子供が大人になっている課程を見ていると、次の未来を作るのは今の子供たちだと、リアルに感じる部分はあります」

  • 今思うことを明かしたATSUSHI
  • 今思うことを明かしたATSUSHI

 J Soul BrothersからEXILEに改名。メジャーグループになったが最初はプロ意識が低く、転機になったのはポリープの手術だった。

 「ボーカルが職業なんだと思ったのは25歳過ぎてから。デビューは21歳なんですけど、それまではかっこいいからとか好きな子に振り向いてほしいからとか。俗にいう“もてたい”というものじゃないですか。その延長でやってきていた所でポリープが喉に見つかり『歌を一生続けるには自分の体調管理が大事』とか認識させられました。SHUN(清木場俊介)が脱退すると決まった時のツアー中に声がかすれ始めて、治ることのない喉風邪のような感じでした。彼がやめることを知りながらファンの方に『これが最後なんだ』と言えないこともストレスだったかな~。ライブ終わってからお酒を浴びるように飲んだり、二日酔いでライブしたり。当時のファン方には申し訳ないんですけど、精神状態も不安定でした」

 ―手術に抵抗はあった。

 「声帯結節はちょっと痛めたものであれば投薬で治ることもありますが、ポリープは腫瘍になっているので薬で消すことはできない。それは分かっていても3か月ぐらい抵抗して、東洋医学やマクロビオティックとか試しました。もちろん、手術して声が戻るのか、みんなが離れてしまうんじゃないかという恐怖感がありましたね。結果、手術を受けるんですが、この時にSHUNの脱退の悲しみ以上にまた歌える喜びを感じました。術後10日間ぐらいは筆談なんですよ。普段見ている風景や食事とか、お世話して下さる看護士さん対して『ありがとう』の気持ちを伝えたいけど言えない。喋られないのはすごいストレスでしたが、また歌える喜びだったり、周囲への感謝とか自分の中で感情の扉が開いた感じがします」

 自身の手術とボーカル脱退が重なりEXILEは存続危機に陥っていた。

 「まずHIROさんが僕に『続けてくれるか』と話していただき『ぜひ続けたいです』と。一人で全部の曲を歌うのかなといろいろ考えていたんですが、HIROさんには作戦(ボーカル・バトル)があって、翌週の会議には『僕の許可が取れた』ってもう動いていました。HIROさんのすごい所はネガティブな要素もプラスの情報でかき消すというか『全国でオーディショやって、EXILEのボーカルになったらやばくない?』って。みんなは『それすごいですね』となるワケです。あんまり落ち込んでいる暇はなくて、2週間ぐらいで『よしゃー、次行くぞ』ってなってましたね」

 ボーカル・バトルでTAKAHIROが加入したが、同じボーカルとして考えることもあった。

 「パフォーマーチームは彼を推していましたが、僕は満場一致のモノには落とし穴があると思っていて、最後まで『本当に彼なのかな。まだ分からんぞ』って一人で仙人ぶっていました。僕にとって相方を決めるのは、嫁を取るみたいなもので『みんながあの人がいいよ』って言っても僕が好きにならないとね(笑い)。決め手は最後はレコーディング審査でした。僕の声と機械上で並べて聞いた瞬間、感覚的でしかないんですけど、周波数とか理論はあると思いますが、波長というか声の質というか相性がいいと感じました。TAKAHIROは空手やっていて元々が体育会系。なによりEXILEの大ファンで、仲良しこよしじゃないですけどみんなで会社作って、何か一つ事を成し遂げたらみんなでお酒飲んで盛り上がって『また次の目標に向かって明日から頑張るぞ』って。そんなグループの空気感を分かっていたのは大きかったです」

 ―EXILEとソロを含め他の活動では違いがあるのか。

 「EXILEの看板への責任感はありますがホーム感すごくあります。初期からやっているかもしれませんが、EXILEを細胞で覚えているし、サングラスかけたらEXILEのATSUSHIみたいものを少し感じています。あと僕らの概念として卒業してもEXILE HIROだし、EXILE MATSU。みんなEXILEを言い続けようというのはあります。ボーカルチームは言葉いわずとも信じてついてきてくれるというか、歌詞や曲のこととかは僕が主になってて円滑にうまく回っていると思います。それにうっさん(USA)、マキさん(MAKIDAI)、まっちゃん(松本利夫)が勇退した後にAKIRAが変わりました。僕の次にTAKAHIROの時代からいるパフォーマーとして自分が先頭に立たなくちゃいけないというような。自然に責任感を感じてパフォーマーを取りまとめてくれるので、僕が音楽に集中させてもらっている部分もあります」

 -パフォーマーとボーカルには壁があるといわれるが、実際に感じる事はあるのか。

 「多少は感じますね。パフォーマーが考える演出はパフォーマンス中心で、ボーカルチームは音楽や歌詞とかから考える。そこからすり合わせることでいいものが生まれるワケです。たとえばAメロ、Bメロ、サビがあって、あちらから『サビから踊ればパフォーマンス映えする』というオーダーがリハ中に来ると『なるほど、だけどそれって音楽的に可能なのか』となるんですね。当初は葛藤もありましたがその時期も過ぎました。CDと違うバージョンをどんどん作らなきゃいけなかった時期を1回超えると、ライブでのお客さんの喜び方を見て『これで良かったな』となる。第3章になって人数が多くなった分、みんなを目立たせるというか、バックダンサーに見えないように演出していかなきゃいけない。パフォーマンスと聞かせ所の比率、そこをバランスを取りながら進めています」

 EXILEにソロと順調に活動をこなしている時に2度目のピンチが襲い、2年の休養、留学を経験した。

 「2014年のソロのアリーナツアーの時に自立神経がちょっと…。理由なく精神的に落ち込んだりした時期が続いて、ひどい時はめまいもしたりしました。体の休養を含めて、一度リセットするために留学させてもらいました。体を直してEXILE復活までに至ったんですけど、自分にはマストで必要な時間でした。アレがなかったら今やってないかもしれません。それぐらい限界きてました」

 来年はパーフェクトイヤーだけにソロライブの開催も気になる所だ。

 「今、絶賛その話をしている最中です。どちらも自分にとっては右腕、左腕。バンドも始めて4つを兼任していますがどれも自分のやりたいことです。もちろんソロでの表現も考えています。ツアーをどのタイミングでやることがベストなのかどうかを含め、EXILEファンを混乱させないようにしないといけない。ステーキとカレーを一緒に出してもしょうがない。上手にコース料理を組み立て提供できないと一流になれないかなと思います」

 ―最後にボーカリストとして刺激になる人は。

 「ボーカルで言えば玉置浩二さん、徳永英明さん、久保田利伸さんは同じ男性シンガーとして尊敬しています。お三方にお会いすることができました。後は歌手という枠を超えて芸事、生き様の大先輩として杉良太郎さん、坂東玉三郎さんは僕の中では大きな存在です」

 触れなば落ちん―。サングラスで繊細な魂を隠している。レジェンドは身を削りながらも進化し続ける。

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役者には興味ないというATSUSHI
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