【令和元年 回顧】暗いニュース、炎上連発の原因はネット民の「身勝手世直し」…井上トシユキ氏に聞く

スポーツ報知
スマホなどで見られたネットニュースは暗いものが多かった

 スポーツ報知のホームページ(HP)における社会ジャンルへのアクセス回数から見た「報知インターネットニュースランキング」は、9月に発生した山梨県の小1女児不明がトップ。2位以下も、世間を騒がせた暗いニュースが上位を占めた。ITジャーナリストの井上トシユキさんは、「世の中の不況が反映されたのだと思います」と分析。一部の“ネット民”がやり場のない怒りを身勝手にぶつけた結果が出たと指摘した。

 上位20傑を眺めてみると、明るいニュースは18位の天皇陛下即位パレードのみ。昨年は「スーパーボランティア」こと尾畠春夫さんが不明2歳児をわずか30分で発見したのがトップだったことを考えると、どんよりとした話題が並ぶ結果となった。

 井上さんはこの傾向を「今年は消費税が上がったのをはじめとして、日本全体が暗く沈んでいるようなむきがあります。それが大きく影響したのではないでしょうか」とみている。国民の多くが「鬱々(うつうつ)」「イライラ」しており、それを世の中の出来事にぶつけているという構図だ。

 「2位の池袋の暴走事故は元通産省のエリート官僚という肩書が後に判明し、逮捕されなかったことから『上級国民』という言葉が生まれた。3位の大津の事故は、ドライバーが保釈中にストーカーで逮捕され炎上しました。いずれも、『この人たちは、一体何なんだ』と思うわけです」。心に余裕があればスルーできることも、すさんでいると気になってしまうという結果が表れているとした。

 そもそも、「ネット民」と呼ばれる人たちは、何か突っ込みどころを見つけると、そこを一気に攻めることがある。それが「炎上」となるわけだが、井上さんは「炎上は結局のところ『世直し』か『憂さ晴らし』の2つに大別される」と話す。今年は不況だからこそ、そのうちの「世直し」が目立ったのではないかと考えているという。

 「これは池袋の事件が象徴的だと思うのですが、社会の中で格差が広がっていることで『分断』が起きている。そんな中で“上級国民”が一般人よりも優遇されているような扱いを受けていると考えたことから『けしからん』と炎上が起き、世直しした気分になるのです」。各地で多大な被害が出た台風15号、19号の話題がベスト10入りしなかったのも「やっつける相手」となる対象がなかったことが理由にあるのでは―とした。

 今年は負の話題に終始する結果となったが、世の中には心が温かくなるような話、「ぜひみんなに知ってもらいたい」とプラスの意味で“炎上”させたい話も多数あるはず。来たるべき2020年は、そのような話題がネットニュースの中心にあってほしいものだ。

スマホなどで見られたネットニュースは暗いものが多かった

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