【箱根への道】順大・橋本、コースアウトもうしない 赤ハチマキもう忘れない

教育実習先の生徒からもらった鉢巻きをつける橋本(カメラ・宮崎 亮太)
教育実習先の生徒からもらった鉢巻きをつける橋本(カメラ・宮崎 亮太)

◆順大 前回8位(9年連続61回目)出雲8位 全日本9位

 第96回箱根駅伝(来年1月2、3日)のダークホースと目される順大の切り札は、赤鉢巻きがトレードマークの橋本龍一(4年)だ。全日本大学駅伝2区では集中しすぎるあまり、先導の白バイにつられて歩道を走るアクシデントもあったが、6区終了時点で2位につけたチームの原動力に。「5強」に注目が集まる戦国駅伝で、意外性の男が風穴を開ける。

 橋本は夢の中にいた。11月の伊勢路。1区4位と好スタートした野口雄大(3年)からタスキを受けると、前半からハイペースで飛ばした。「走っている間はゾーンというか、意識が飛んでいる感じだった。きつくはなかった」。愛知と三重の県境にある8キロ地点。先導の白バイの管轄が切り替わるタイミングで、アクシデントは起きた。

 「白バイの人に『こっちじゃない!』と言われて…。我に返ったというか、夢から覚めた感じ。そこからは一気に疲れが出て、ペースもガタッと落ちてしまった。後続との差も詰められたので悔しさもある」

 集中のあまり、コースアウトしていく愛知県警の白バイを追走した。呼びかけに応えたが、一時は歩道を走っていた。残り3キロで失速したものの区間5位でまとめ、主力としての役割を果たした。

 ただ、果たせなかった約束もある。6月に教育実習として千葉・印旛中で約4週間、3年B組を担当した。「橋本先生は赤が似合うから」と、約30人の生徒から似顔絵の描かれた赤い鉢巻きをもらった。「3大駅伝でつけるから、と約束して出雲ではつけて走ったんですが…。1区の野口が速すぎて」。伊勢路ではベンチコートのポケットから取り出し忘れた。

 往路での起用が見込まれる4年連続の箱根路へ「もうつけ忘れません」と宣言した。長門俊介監督(35)は「チームを引っ張るというより、彼が元気じゃないと盛り上がらない。突っ走るところもあるけど、これで少しは冷静さも出てきたかな」とムードメーカーとしての役割にも期待する。「大学最後の駅伝。笑顔で終わりたい」。仲間の汗が染み込んだ白地に赤ラインのタスキと、教え子の思いがこもった赤鉢巻き。橋本の心は、真っ赤に燃えている。(太田 涼)

 ◆橋本 龍一(はしもと・りゅういち)1997年5月19日、神奈川・川崎市生まれ。22歳。法政二高3年時の全国高校駅伝1区33位。2016年に順大スポーツ健康科学部入学。箱根駅伝は1年6区10位、2年3区7位、3年3区12位。自己記録は5000メートル14分0秒29、1万メートル28分49秒25。163センチ、50キロ。

 ◆順大 1952年創部。箱根駅伝には58年に初出場。66年に初優勝し、歴代4位の11回優勝。出雲駅伝は優勝3回(99~2001年)。全日本大学駅伝は00年に優勝し、同年度は学生駅伝3冠。長距離部員は63人、学生スタッフ4人。タスキの色は白地に赤。主な陸上部OBは19年4月に亡くなったマラソン指導者の小出義雄氏、「初代・山の神」今井正人(トヨタ自動車九州)、08年北京五輪400メートルリレー銀メダルの高平慎士氏。

  • 順大の戦力チャート
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 ◆戦力分析 エース塩尻和也(現富士通)や3年連続で5区を担った山田攻(現警視庁)らが卒業したが、総合力でカバーし13年ぶりの優勝を見据える。特に藤曲主将をはじめとする4年生が充実。長門監督は「素質は東海大の黄金世代に引けを取らない」と自信を見せる。

 流れに乗れば快走が期待できるだけに、1区の重要性は大きい。起用が濃厚な野口は「橋本さんには文句を言われたけど、箱根でも次の走者を焦らせるような走りがしたい」と気合十分。兄の背中を追って門をたたいた西沢や、1万メートルで自己記録を一気に2分以上更新した原田らにも注目だ。

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