【佐藤優コラム】ドーピング問題での日ロ関係悪化は避けられるか

 ロシアのドーピング疑惑に関して世界反ドーピング機関(WADA)は9日、スイス・ローザンヌで常任理事会を開き、検査データ改ざんを行ったロシア反ドーピング機関を「不適格な組織」と認定した。

 その結果、ロシア選手団や政府関係者らを2020年東京五輪・パラリンピックを含む主要大会から4年間除外することを決めた。

 ロシア政府が事実上運営するウェブサイト「スプートニク」(日本語版)がWADAの決定が出る3日前の6日にメドベージェフ首相の見解を報じている。

 メドベージェフ首相は9日に予定されているWADAの理事会について、次のように語った。「問題は2つの部分に分けられる。我々はもちろん、この先も自国におけるドーピング対策に向けた作業を続けていかねばならない。なぜならここでは我々は罪を犯した。それでは他の国は違反していないのだろうか? これが何よりも腹立たしいのだ。我々はこれらの例をみんな知っているではないか。なぜか彼らはこれら(ドーピングを使用した選手、国)をテーブルの下に隠しながら、ロシアだけを始終洗いざらし調べまくっているからだ。これが全体的な政治状況と関係していることは明白だ。だが、この作業は行わねばならない」

 メドベージェフ首相の理屈が国際社会で受け入れられることはない。たとえば、駐車違反に関して「他の人も違反しているのに、俺だけを摘発するのは不公平だ。だから罰金を払わなくて済むようにしろ」と主張しているようなものだ。

 ロシアが東京五輪・パラリンピックに出場しないとなると、ロシア世論は「日本も欧米諸国と一緒になって嫌がらせをしている」という受け止めになる。このような国民心理は北方領土交渉にブレーキをかけるので、日本としても手を打たなくてはならない。早期に安倍晋三首相がモスクワを訪れ、プーチン大統領と会談し、ドーピング問題が日ロ関係に悪影響を与えないように働きかける必要がある。(作家、元外務省主任分析官)=おわり=

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