成田凌、7か月間の猛特訓「部屋の空気が地獄でした」…がっつり語った「カツベン!」撮影秘話 

「カツベン!」を「僕の代表作」と言い切った成田凌(カメラ・小泉 洋樹)
「カツベン!」を「僕の代表作」と言い切った成田凌(カメラ・小泉 洋樹)
インタビューに答える成田凌
インタビューに答える成田凌
成田凌が活動弁士を演じた映画「カツベン!」の一場面(C)2019「カツベン!」製作委員会
成田凌が活動弁士を演じた映画「カツベン!」の一場面(C)2019「カツベン!」製作委員会

 第44回報知映画賞で助演男優賞に輝いた俳優・成田凌(26)の初主演映画「カツベン!」(周防正行監督)が公開中だ。今から100年前、無声映画が活動写真と言われた時代に独自のしゃべり(活弁)で劇場を盛り上げた活動弁士の物語。成田は約7か月間の猛特訓でプロ顔負けの活弁を習得した。苦労が多かった分、思い入れが強く「この映画に出会えたことが人生の宝物。間違いなく、プロフィルに太字で残る」と愛着を語った。(有野 博幸)

 「シコふんじゃった。」(1992年)、「Shall we ダンス?」(96年)で知られる周防監督の5年ぶりとなる最新作。成田は約100人が参加したオーディションから主役の座をつかんだ。

 「台本を読んで面白かったし、絶対に出たいと直感で思いました。だから活動弁士について調べてプリント用紙4枚分くらいにまとめて、覚えたての知識を必死にアピールしました。さらにボイストレーニングや活動弁士の練習もしてオーディションに臨みました」

 マネジャーが普段はめったに来ない自宅に訪れて合格の一報を知らせてくれた。

 「本当にうれしかったんですけど、マネジャーが僕以上に喜んでいて、握手を求めてきて…。逆に冷静になっちゃいました(笑い)。仕事に向かって移動しているうちに、じわじわと喜びがこみ上げてきましたね」

 活動弁士を夢見る青年・俊太郎を演じた。周防監督からは「芝居がいいとか、声がいいとかじゃなく、こういう若者好きだなと、愛されるキャラクターだと思った」と言われた。

 「素の部分を評価されたのは、うれしいです。俊太郎は素直な性格なので、余計なことを考えず、まっすぐに演じました。人任せというか、活弁が大好きということだけを心にとどめて生きているキャラクターです」

 撮影前、周防監督から強く言われたのは「しゃべりのプロになってもらわないと、この映画は成立しない」ということ。7か月間の猛特訓で「これほどのレベルまで上達するとは…」と監督をうならせ、現代のしゃべりのプロである徳光和夫氏(78)、古舘伊知郎氏(65)からも太鼓判を押されたという。

 「現役の活動弁士である坂本頼光さんに直接指導を受けました。最初はできる気がしなくて、部屋の空気が地獄のようでした。何度も繰り返すしかないけど、全力でやると、喉を痛めてしまうので、しゃべりは1日3時間が限界。だから、それ以外の時間は落語、講談などの伝統的な話芸のリズムを聞いて、自分なりに取り入れました」

 デビューから5年にして初めての主演映画。撮影前は漠然としたプレッシャーに押し潰されそうになった。

 「撮影に入って、数日たってからは楽しくなってきました。責任感がないと言ったら失礼ですけど、これほど豪華なキャスト、スタッフがいて、僕なんかが責任を感じることはおこがましい。『みんなのおかげで、僕が真ん中に立たせてもらっている』と思うようになりました」

 ヒロインの黒島結菜(22)も成田同様にオーディションで選ばれたが、竹中直人(63)、永瀬正敏(53)、高良健吾(32)、音尾琢真(43)、渡辺えり(64)、竹野内豊(48)ら豪華キャストが集結した。

 「ムードメーカーはみんな。それぞれの存在感が強すぎる。ただ、作品の温度感は竹中さん、(渡辺)えりさんが作ってくれました。よくみんなで食事にも行って、お酒を飲みました。えりさんがカラオケで大好きなジュリー(沢田研二)をノリノリで歌ったり。先輩の方々の貴重な経験談を聞かせてもらったり、幸せな時間でしたね」

 経験豊富な先輩俳優の中でも特に竹中から影響を受けることが多かった。

 「こんなに自由に演じていいものなのか、と思いました。予告編で使われている竹中さんのセリフって、実は全部アドリブなんです。アドリブはカットがかからない時に、時間があるからしゃべるものだと思っていたけど、竹中さんのアドリブは必要不可欠なものになっている。本当にすごい。どれくらい脚本からはみ出していくのか、毎日楽しみだった」

 周防監督作品の常連で、監督の求めていることを誰よりも理解して体現している竹中から直接、アドバイスを受けることはなかったのか。

 「直接のアドバイスはないです。そういうことを言う人じゃないんです。ものすごく謙虚で丁寧な方なので。ただ一緒にお芝居をさせてもらったことで、自然体の芝居を竹中さんに引き出してもらいました。感謝してもしきれませんね」

 完成した作品を見て、熱い思いがこみ上げてきた。

 「いつもは自分の演技を見て『あそこは最悪だ』『何でそうしちゃったんだろう』と反省ばかりだけど、今回は一人の観客として楽しめた。後半のドタバタしていく場面は、すごくこだわって撮影した。飛び出すタイミングとか歩くスピードを調整したり。映画を見て、監督の意図が明確に理解できた。納得です。周防監督は天才ですね。最後の最後まで観客を飽きさせないのがすごい」

 津川雅彦さん(享年78)との出会いが俳優としての原点だ。デビュー作のドラマ「FLASHBACK」で共演したことで「僕も周りに影響を与える俳優になりたい。本気でこの仕事を頑張りたい」と誓った。「カツベン!」で山本耕史(43)が演じた「日本映画の父」こと牧野省三監督は津川さんの祖父。時空を超えて虚実さえも超えて共演したことに運命を感じさせる。

 「津川さんもそうですし、竹中さんや永瀬さん、高良さんも俳優としての生きざまが、かっこいい。すてきな先輩方と一緒にお芝居をさせてもらう度に、僕もこんな俳優になりたいなって強く思います。僕にとって『カツベン!』は間違いなく、太字として残る作品になるでしょう。胸を張って『代表作』と言える作品になると思います」

 18日には、助演男優賞に選ばれた報知映画賞の表彰式に出席した。「チワワちゃん」「さよならくちびる」「愛がなんだ」の3作品いずれも存在感のある演技を見せたことが評価された結果だ。

 「日本アカデミー賞の新人俳優賞を頂いたことはあるんですが、助演というのは初めて。うれしいですね。俳優として5年目。こういう仕事がやりたいと思っていたことが徐々に実現している。賞を頂いたことで、『好きなことをやっていて大丈夫なんだ』って確認できてホッとしました。これまでの全てが報われた気がします」

 今年は「翔んで埼玉」「人間失格 太宰治と3人の女たち」にも出演しており、実に6本もの映画が公開された。「TAMA映画賞」の最優秀新進男優賞も受賞しており、今年度の映画賞を総なめにする勢いだ。来年も映画「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」などの公開が控えており、活躍ぶりはさらに加速しそうだ。

 ◆カツベン!

 少年時代に活動写真小屋で見ていた活動弁士に憧れていた染谷俊太郎(成田)は「心を揺さぶる活弁で観客を魅了したい」という夢を抱いていたが、今ではニセ弁士として泥棒一味の片棒を担いでいた。そんなインチキに嫌気が差した俊太郎は、泥棒一味から逃亡して、とある小さな町の映画館「青木館」に流れ着く。

 ◆成田 凌(なりた・りょう)1993年11月22日、埼玉県生まれ。26歳。2013年からファッション誌「MEN’S NON―NO」の専属モデルになり、14年にフジテレビNEXTのドラマ「FLASHBACK」で俳優デビュー。17年の映画「キセキ―あの日のソビト―」で注目され、19年は「翔んで埼玉」「人間失格 太宰治と3人の女たち」など6本の映画に出演。趣味はフットサル。身長182センチ。血液型O。

「カツベン!」を「僕の代表作」と言い切った成田凌(カメラ・小泉 洋樹)
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