【報知映画賞】主演男優賞の中井貴一「すでに寅さんの域にある」と佐藤浩市が祝福

主演男優賞を受賞した中井貴一(カメラ・小泉 洋樹)
主演男優賞を受賞した中井貴一(カメラ・小泉 洋樹)

 「第44回報知映画賞」の表彰式が18日、東京・港区のザ・プリンス・パークタワー東京で行われた。「記憶にございません!」(三谷幸喜監督)で主演男優賞を受賞した中井貴一(58)は、壇上で2歳の時に亡くなった父で俳優の佐田啓二さん(享年37)と自分をつなげたのが映画だったと振り返り「映画に恩返ししたい」と感謝。盟友の佐藤浩市(59)はビデオメッセージで「すでに寅さんの域にある」と渥美清さん(享年68)を引き合いに出し、絶賛した。

 「選んでいただいた方やスタッフに感謝の気持ちを伝えたい」。中井は舞台の昼夜公演の合間をぬって、滞在時間30分の超強行スケジュールで駆けつけた。会場到着後、席に着く間もなく大トリでステージへ立つと、思わぬサプライズが待っていた。内閣総理大臣を演じたコメディー「記憶にございません!」で共演した佐藤からの祝福メッセージだった。

 「日本の映画賞で、コメディーで演技賞を受賞するという例はあまりない。僕の記憶の中では、渥美清さん以来。つまり、あなたはすでに寅さんの域なんです」

 「男はつらいよ」シリーズに主演した国民的俳優の名を挙げ“令和の寅さん”と評されると、中井は思わず照れ笑いを浮かべた。

 実は、コメディーの難しさを最初に肌で感じたのが、「男はつらいよ」だった。デビュー3年目の1983年、「男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎」(第32作)に出演した。「一緒に仕事をするまでは、正月映画はまた『寅さん』だね、と気楽に言えたんですが、出させていただいて、こんなに喜劇を真剣に撮っているんだと知らされたんです。渥美さんと相対した時の威圧感、オーラを痛切に感じて、喜劇は難しいと実体験で教わりました」

 演じる難しさを知るからこそ、36年の時を経てコメディーで受賞したことが、何よりもうれしかった。「寅さんをやろうとも、近づこうとも思いませんが」と前置きした上で、「日本の映画の風物詩的なものが自分に創れるようなことがあればうれしい」と、今後に意欲も見せた。

 壇上では、渥美さんよりさらに以前に活躍していた父・佐田啓二さんとの“思い出”にも触れた。父は64年、中井が2歳の時に交通事故に遭い、37歳で早世。父の記憶も、肌感覚もない。だが「幼かった頃の自分と、亡き父を取り持ってくれたのが映画でした。映画で見る父を自分の父だと思いイメージを膨らませ、自分が父の子供であることを認識することが多くありました」と、振り返った。

 「父が亡くなった37歳までに、自分も死ぬと思っていた」というが、デビューから39年目。役者人生はすでに父の生きた年月を超えた。今は「どれぐらい、父に土産話を持って行ってやれるか」が生きる上での大きなテーマでもある。「父の背中は分からないから、追いかけようがない。でも、いろんな経験を積むことで、38歳からの役者人生ってこんなだぜ、つらいこともあったぜって、土産話ができる。父は『そんなに大変だったか。よかったよ、俺は早く死んでさ』と言うかもしれない。だからこそ、挑戦をやめずに生きていきたい」

 今も出演作を見ると反省ばかりが頭に浮かぶ。やり残していることもたくさんある。「映画に恩返ししなければならないと思いますし、この先も映画を愛し、映画に必死に取り組みたい」。中井は、まだまだ日本の映画界をけん引し続ける。(土屋 孝裕)

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