清水希容&植草歩、五輪初代女王へ勝負の年「楽しみ」

スポーツ報知
さあ五輪イヤーへ。指とメダルで「2020」を作り、東京五輪での活躍を誓った清水希容(左)と植草歩

 2020年の東京五輪で初めて競技が実施される空手は、7、8日に行われた第47回全日本空手道選手権大会(報知新聞社など後援)で今年の主要な大会を終了した。空手発祥の地である日本は、一つでも多くの優勝を狙うべく、年明けから本格的な選手強化体制に入る。女子の形・組手のエース・清水希容(26)=ミキハウス=と植草歩(27)=JAL=は、納得いく結果が出ない中でも自分を律し、すべてをかけて勝負の年を迎える。

 日本武道館が東京五輪に向けた改修のため、高崎アリーナに場所を移して行われた今年の全日本選手権。事実上の五輪代表を確定させている清水が圧巻の演武で7連覇を達成した。

 予選ラウンド(R)こそ大野ひかる(27)=大分市消防局=に次ぐ得点で2位通過したものの、2次Rでは大野を上回る点をマーク。岩本衣美里(31)=クリーンコーポレーション=との決勝では、得意のチャタンヤラクーサンクーで1点以上の差をつけ圧倒し、「オリンピックも残り8か月になって、金メダルを取るために全ての形の底上げをして頑張っています。(本番では)しっかり良い演武をみせたい」と満員の観客の前で意気込みをみせた。

 初代五輪女王へ期待は高まるばかりだが、順風満帆とはいえない1年だった。転戦した世界シリーズ・プレミアリーグ(PL)などでは、ライバルのサンドラ・サンチェス(38)=スペイン=に3勝6敗。世界ランキングも2位にとどまる。「サンドラに勝てない試合が多い1年でした。日の丸を背負っている中、ずっと責任を感じますし、もっと実力をつけないといけないと思う」。組手と違って相手と直接対峙(たいじ)せず、自分との戦い。「自分の限界を超えていくことが大事。もっと基礎を作って、シンプルな動作を強く出せるよう力をつけていきたい」と目標を掲げる。

 苦しんでいるのは組手の植草も変わらない。9月に日本武道館で行われたPL第5戦では日本のファンの前で優勝を飾ったが、全日本5連覇がかかっていたこの大会では、齊藤綾夏(23)=AGP=との決勝で逆転負けを喫し大粒の涙を流した。前週のPL第7戦でも地元・スペインの選手に初戦負け。「頑張っても頑張っても、うまくいかない年でした」と悔しさをにじませる。

 しかし全日本選手権は、植草にとっていつも転機になった大会だという。2014年に染谷香予に決勝で負けた時や翌年その染谷を破って初優勝した時も、「いつも自分にとって変化を与えてくれた大会。この負けも、自分にとって重要な変化になる機会だと思う」。攻撃の入り方だったり単調になっている部分など、改善すべき点は分かっている。「あとは自分が変わるだけ。この苦しみを味わったからこそ、オリンピックで優勝するための糧になれるようにしたい。(2020年が)楽しみです」。8月6日からの3日間、清水、植草ら日の丸空手家が新たな歴史を作る。

 ◆齊藤綾夏が植草破り初V

 女子組手で初優勝した齊藤綾夏は、決勝で植草に先取を許したものの1分25秒に上段蹴り1本を決めて逆転。その後も追加点を次々と決め植草の猛攻にも耐えた。「ずっと歩先輩を追ってきて、なかなか超えられなかったが、この舞台で超えられた」と涙を流して喜んだ。

 形男子は喜友名諒(29)=劉衛流龍鳳会=が圧倒的な演武をみせ大会タイの8連覇を達成。組手は五明宏人(24)=綜合警備保障=が初優勝した。

 ◆各カテゴリートップ計8人が出場

 東京五輪に日本は形男女1人ずつ、組手男女3階級各1人の計8人が出場できる。出場選手は、世界シリーズのプレミアリーグ(PL)などを対象に昨年7月から加算が始まったWKF(世界空手連盟)ポイントを反映した五輪番付で、来年4月6日の時点での各カテゴリー日本人トップが選ばれる。

 選出まで日本が参加を予定しているPLは3試合、優勝は1000ポイントのため、現段階で日本人2位に3000ポイント以上の差をつけている男子形の喜友名諒、同組手75キロ級の西村拳、女子形の清水希容が事実上の確定ということになる。

 ◆五輪は8月6~8日に開催

 東京五輪の空手競技は8月6~8日、日本武道館で行われる。その後も9月にアジア選手権(インドネシア)、11月に世界選手権(UAE)が行われるなど、激動の1年となる。

 全日本空手道連盟では1月より五輪番付の日本人1、2位を集中指定強化選手とし、PLも計画的に出場するなど本番に向けた体制に入る。

 五輪開催に合わせ、毎年都内で開催されている小学生全国大会が場所を変えて実施、全日本少年少女武道錬成大会は中止となる。

 

スポーツ

個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請 報知新聞150周年
×