馬場馬術・黒木茜、愛馬の死乗り越え2大会連続五輪へ 

黒木茜
黒木茜

 4年ぶりに取材した馬場馬術の黒木茜(41)のユニークキャラは健在だった。五輪を目指す馬術選手の取材会で、初五輪だったリオ大会を振り返った。「人生で一番吐きそうな日というか。一番、人生で『オエー』って来た日です。かつ、人生で一番幸せな日でもありました」。上品なスマイルを浮かべ「オエー」の3文字を吐き出した。

 リオ五輪前の取材会中には泣き出した。「緊張すると泣いてしまうんです」。インパクトは抜群。経歴も面白い。老人ホーム社長との二足のわらじを履く。馬術との出会いは20歳と遅く、本格的な競技開始は25歳。12年に介護付き老人ホームを開設した。拠点のオランダと日本を2週ごとに往復する日々を過ごし、日本滞在中は馬に乗らず仕事に集中。オランダでは乗馬中も携帯電話は必ずポケットに入れる。「介護の仕事なので、24時間365日休みなし」。いつでも電話に出られるように、と気を張っている。

 またがった瞬間に「これしかない」とほれ込み昨年5月に購入した愛馬が、1か月で死んでしまった。「その時は東京五輪なんて考えられなかった」。動物とともに行う唯一の五輪競技。馬術選手が馬に向ける愛情、敬意には毎度胸が熱くなる。相棒を失った悲しみから立ち直ることは、精神的にも金銭的にも簡単ではなかった。

 だが、ここからが茜節だ。「マンガのようにお札が飛んでいく絵が浮かんだ…」。五輪前、馬の価格は格段に上がる。金額は明かさなかったが「ポルシェが何台も買えるくらい」の額だったというから、馬術の世界は壮大だ。「諦めるのはいつでもできる。神様は私に試練を与えたんだ」と前を向いた。しばらくはレンタル馬でやりくりし、ツインダーウインドという新しいパートナーを最近、手に入れた。選考レースは来年1月から。二刀流ライダーの、2大会連続五輪への挑戦が始まる。

 ◆高木 恵(たかぎ・めぐみ)北海道・士別市出身。1998年報知新聞社入社。紙面レイアウト担当、ゴルフ担当を経て、2015年から五輪競技を担当。16年リオ五輪、18年平昌五輪を取材。

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