アニソンの女王・LiSA、パンクから180度転換 不滅の心で紅白初出場

アニソンの女王LiSA
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 アニソンの女王LiSA(32)がソロデビュー9年目にして「第70回NHK紅白歌合戦」に出場する。今年、主題歌を担当したアニメ「鬼滅の刃(きめつのやいば)」が社会現象にもなっているが「信じて待つしかなかった。紅白を一番喜んでくれたのは祖母だと思う」と話した。高校時代はパンクロックに傾倒し、プロを目指して単身上京したがオーディションは不合格続き。「歌手以外にも女優とかグラビアまで100件ぐらい応募した」という。苦しい下積みの中でアニメソングとの出会いを機にポテンシャルが一気に開花。念願の東京ドーム公演も射程に入ったようだ。(国分 敦)

 今年4月から放送されたアニメ「鬼滅の刃」(TOKYO MXほか)の威力は強烈だった。2016年に「週刊少年ジャンプ」で連載がスタートし、放送前まで発行450万部だった単行本は放送後に急増し2500万部に。LiSAの歌う「紅蓮華」も約40万ダウンロードを記録し、今年の女性ソロ歌手の配信楽曲では1位となり紅白の有力候補にも挙げられていた。

 「お店で関連グッズがなくなったり、書店では『単行本は一人1冊にしてください』という貼り紙が出ていたり。今年後半はキメツ(鬼滅の刃)がみんなに愛されて社会現象になっていると感じていましたが、紅白は“信じて待つ”でした。朝10時のメールでの第一報にも『まだ分からない』と思っていて、事務所に行って『おめでとう』と言われて現実味が湧きました。家族へ連絡したら、お母さん以上に祖母がとっても喜んでくれました。おばあちゃんは私の出演番組もチェックしていて『のど自慢でリサの曲を歌った子がいたよ』とか報告してくれます」

 「紅蓮華」は作詞も担当。スタッフの愛情を一身に受けての作業だったという。

 「アニメ制作の段階からスタッフの方の熱量がすごかったので、私も自分の精いっぱいを込めなきゃいけない、責任感を持って挑ませていただきました。キメツは鬼になる側と鬼退治をする側の人がいるんですが、すごく人間の心に似ているんですね。それぞれに悲しい過去を背負っていて、鬼側には悲しい自分にのみ込まれてしまった人がいる。誰かのせいにしたいとか心の闇があって、自分も現実に鬼側になってもおかしくないと思いました。みんな幸せになりたい。自分が正解だと信じてたくて戦っているという思いを詞に込めました」

 学生時代はパンクバンドに打ち込み、解散を機に上京してデビューの機会をうかがっていた。

 「20歳で上京して自分が歌う場所をつくるためにバンドを組み、その傍らでオーディション雑誌を見ていました。とにかく年齢制限が19歳までばっかり。20歳になると一気になくなる。書類は100近く送りました。家の中が業者かというくらい封筒だらけで、履歴書と音源を封筒に入れて送る日々…。女優さんにモデルさん、グラビアとか、受けられるのは全部応募した中で『アニメの挿入歌』のお話をいただきました。今すぐに歌える場所があると思ったらまっしぐらでしたね。でも同じタイミングでグラビアなどのお声がけもあって、ちょっとずれていたら全く違っていたかもしれません」

 パンクからアニソンへ180度の転換だが、そこで気づいたこともあった。

 「ずっと男の人たちと対等に戦いたくてロックをやってきましたが、いただいた『Angel Beats!』はかわいい女の子が登場するアニメです。プロデューサーから『君のかわいい声で歌って』とオーダーされて『私の声ってかわいいのか』。びっくりでした。バンドをやる前はスクールに通って、R&Bやバラードなどいろいろチャレンジしたけどダメで、やりたいことをやっても評価されなかった過去があったので『その手があったか。1回委ねてみよう』って。それで松浦亜弥さんら当時のアイドルを研究して自分の中で最大限のかわいい表現を徹底しました」

  • 本紙インタビューに答えるLiSA(カメラ・小泉 洋樹)
  • 本紙インタビューに答えるLiSA(カメラ・小泉 洋樹)

 アニソンのイベントを見てロックの血が騒いだ。ライブの重要性を再認識する一方、ステージへの取り組み方に変化も出てきた。

 「勉強のためにアニメイベントに行ったらお客さんが盛り上がっていて『みんな一緒に何かやりたいんだ。なら私、バンドでやってきた術(すべ)が丸ごと全部使えるかも』ってピンときました。ライブには特別な思いがあります。私、初めて行ったのが米バンド『Green Day』でした。長い行列に並んでやっと会場に入ったらぎゅうぎゅうで。モッシュ系だから人は飛んでくるし、その隙間からビリー・ジョーを見た時『この瞬間のためにこんな苦労したんだ』。そんな体験から自分のライブでは全部あげるみたいな気持ちで続けていました。でも全力を出しすぎて声が出なくなって(昨年)公演を飛ばして…。その時にビリーたちが汗だくになって全部をくれていたあの時間は、彼らのやりたいことと現実のいい案配を取るショーをつくっていたんだと気づかされました」

 海外でも人気を集め、これまで9つの国と地域で35公演をこなしているが、忘れられないライブがある。

 「海外だと言葉の壁がありますが、ライブを重ねるごとに日本語で歌ってくれる方も多くなっています。外国語で歌うのはめちゃくちゃ聴き込んでないと無理で、こんなにも好きでいてくれる人がいるんだと実感できます。4年前の台湾でのライブは印象に残っています。お客さんたちがアンコールで『Believe in myself』を歌ってくれたんです。LiSA名義で一番最初に歌った作品で『リサにとって大事な曲』と認識してくれていたんですね。もう号泣でした」

 これまで渋谷公会堂から日比谷野外音楽堂、日本武道館とライブ会場がステップアップしているが、今後の目標はどこか。

 「東京ドーム公演は日本人女性ソロでは西野カナさんら10人(ほかに美空ひばり、渡辺美里、安室奈美恵、浜崎あゆみ、矢井田瞳、倖田來未、YUKI、水樹奈々、MISIA)ぐらいですからそこに並びたい。できれば2021年までにはやりたいですね。来年の4月からデビュー10周年イヤーに入るんですよ。総決算になるライブが再来年に東京ドームでできたら最高です」

 ―最後に素になれる時は。

 「お風呂ですかね。私すごく長くつかるんですね。で、浴室にiPadやフェースやへッドのケア用品、それに本とかファンの方からいただいたお手紙とか持ち込んで『今日は何しようかな』って、そこで1時間以上は何かやっています。最近、深いお風呂ってなくないですか。私の実家はすごく古くて150年くらいたっている家で、ポチャンと体が縦にしか入れないお風呂でした。昔はそんなのばっかりだと思うんですが、今のは浅くて普通に入ると肩までつからず、結果半身浴になっている気がします」

 自分の強みと弱みを知って動ける。アニソンの枠を超えJポップで頂上に立つのも夢ではないだろう。彼女の本編はこれから始まる。

 ◆作詞家でも売れっ子

  • 新曲「unlasting」のジャケット写真〈3〉期間生産限定盤
  • 新曲「unlasting」のジャケット写真〈3〉期間生産限定盤

 作詞家としてヒットメーカーになっている。アニメ「ソードアート・オンライン」最新シリーズのエンディング曲「unlasting」(11日発売)でも詞を手掛けているが、何か特別な作詞術があるのか。

 「ソードはデビューしてからずっとタイアップで歌っているので、一緒に歩いている感じです。今回は希望に向かうより絶望から始まる物語だったので『みんなの希望につながればいいけど、今はそんなすぐに悲しみから立ち直れないよな』という中での作業でした。作詞は難しいです。私は自分が悲しい思いをした時にその傷を広げて『なんで私、悲しいんだろう』と自分にインタビューする感じで掘って、本当の心理を探り出します。ラブソングですか? それは苦手です。『なんで私、ドキドキするんだろう』とか自ら裂いて、本当のことを知るのが恥ずかしい。それはそっとしておいてみたいな感じです。今は…」

 ◆LiSA(リサ)本名・織部里沙。1987年6月24日、岐阜県出身。32歳。2010年アニメ「Angel Beats!」の劇中バンドの2代目ボーカルに抜てきされる。11年にLiSAとしてソロデビュー。同年中国・上海で初の海外公演。14年に初の日本武道館公演を行う。17年、アジア地域の歌の祭典「ABUソングフェスティバル」に日本代表として出演。今まで9つの国と地域で35公演をこなす。18年5月に初ベスト盤2タイトルを同時発売し週間セールスランキングで1、2位を独占。身長165センチ、血液型B。

アニソンの女王LiSA
本紙インタビューに答えるLiSA(カメラ・小泉 洋樹)
新曲「unlasting」のジャケット写真〈1〉通常盤
新曲「unlasting」のジャケット写真〈3〉期間生産限定盤
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