静かなる流行語「感謝しかない」 発端はあのスーパースター!?

 今年も「ユーキャン新語・流行語大賞」が発表され、年間大賞には納得の「ONE TEAM」が輝いた。

 広く世間で使われた言葉、(さほど流行していていなかった気もする)年間を象徴する言葉が選ばれるのが新語・流行語大賞。ところが、世の中には特に注目されることもないまま、密かに使用頻度が上がっている「静かなる流行語」も存在しているように思う。

 近年でひとつ挙げるなら「感謝しかない」である。

 誰かが誰かに謝意を伝える時に用いる、なんということもない言葉だが、ひとひねり加わっている。「感謝している」で伝わるところを「しか」と限定しながら「ない」と否定で終えることで強調しているのだろう。

 最近やたらと聞くようになったと思っていたら、やはり具体的な数字に表れている。

 スポーツ報知の記事データベースで登場回数を調べると、2010年は年間で1度しか現れていなかったが、その後は明らかな増加傾向を辿っている。

11年 6回

12年 4回

13年 8回

14年 33回

15年 25回

16年 48回

17年 65回

18年 60回

 今年はなんと(おそらく)史上最多の67回(12月4日現在)に達している。

 例えば、5月にタレントの磯野貴理子が年下の夫と離婚した際、番組内で「よく一緒にいてくれたなと思って。感謝しかない」と語っており、11月には日大アメフト部の悪質タックル問題の後に実戦復帰した宮川泰介選手が「フィールドに戻していただいたことに感謝しかない」と目を潤ませている。

 4日にメジャー挑戦を表明した日本ハム・有原航平投手も今季の札幌ドームMVP受賞時に、丁寧語バージョンで「感謝しかありません」と語っている。

 理由を調査すると、あるアスリートの存在が浮かび上がってくる。大リーグ・エンゼルスの大谷翔平投手(25)が時々用いている言葉なのだ。日本ハム時代の15年に開幕2連勝を飾った時は「(打線に)感謝しかないです」。17年オフにメジャー挑戦を表明した会見で、栗山監督に対し「それはもう感謝しかない」。18年シーズン終了後、ソーシア監督に「やりやすいように1年間やらせてもらえた。感謝しかないです」。

 当代きってのスーパースターである。毎日のようにメディアを通して伝えられる英雄の言葉だけに、サブリミナル効果のように世の中に波及したのかもしれない。「感謝せざるを得ない」「感謝する他ない」だったら、どうだったのか。

 よく言われることだが、言葉は時代と共にある。そして、時代を彩る人物とも共にあるらしい。(記者コラム・北野 新太)

社会

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