「巨人軍エンタメ論」今村球団社長×ビビる大木…「ジャイアンツの楽しさ、どんどん伝えていきたい」

巨人・今村司代表取締役社長と対談したビビる大木(右)(カメラ・橋口 真)
巨人・今村司代表取締役社長と対談したビビる大木(右)(カメラ・橋口 真)

 こんばんみ~! ビビる大木です。5年ぶりのリーグVに沸いた今季の巨人。6月に就任した今村司球団社長(59)は日本テレビ時代に「ザ!鉄腕!DASH!」や「家政婦のミタ」など、ヒット企画を連発したことで有名です。そんなわけで今回は、僕がMCの番組になぞらえて「社長室、ついて行ってイイですか?」。巨人がもっと楽しく、面白くなるためのアイデアを直撃しました。トップに聞く「巨人軍エンタメ論」、まずは前編をどうぞ!(構成・加藤 弘士)

 ビビる大木(以下ビ) あらためて、リーグ優勝おめでとうございます。

 今村社長(以下今) ありがとうございます。

 ビ 就任した年に優勝です。

 今 僕が何をしたというわけではないです。「頑張れ、頑張れ」と言ってきただけで。後は「野球選手で才能と運があってここまで来たので、それを生かさなきゃ損だよ。グラウンドに地位も名誉もお金も全部埋まっているんだから、拾いにいかなきゃ損だよ」と言い続けてきただけなんです。

 ビ 社長就任の話が来た時は、どう思われたんですか?

 今 日本テレビでスポーツもバラエティーも編成も営業も事業も経験したので、何があってもどうにかなるだろうと(笑い)。

 ビ そうですか(笑い)。

 今 その前には「侍ジャパン」の事業【注1】もたちあげていました。野球が好きなので。それは一番大きいですよね。

 ビ うれしい、と。

 今 もちろんです。

 ビ 緊張しちゃうじゃないですか、巨人軍の社長となると。

 今 プレーするわけではないので(笑い)。球団に入ると、いかに選手たちがフィジカルもメンタルも大変な中、日々過ごしているかを実感します。僕と話している時だけでも一瞬、少し野球を離れて、気分転換が図れたらなと。ずっと野球漬けになっちゃうんで、緊張だけでなく弛緩(しかん)もないと、もたないと思うんです。

 ビ テレビと球団では、仕事の内容も変わりますよね。

 今 僕はずっと芸能人とのお付き合いがありましたけど、基本は一緒です。芸能人も運と才能と周囲のバックアップがないと、なかなかスターになれない。球団でも一番大事なのは発掘して、育成して、鍛錬して、1軍に上げてスターにすること。そういう意味では抵抗はなかった。番組作りとチーム作りは一緒なので。

 ビ そう考えると、やはり大事なのは育成ですね。

 今 才能の発掘と育成なんですよ、全ては。大事なのは、プロパーで長いこと愛される球団にすることなんです。昔は「多摩川育ち」「ジャイアンツ球場育ち」が普通だったわけですから。

 ビ まだ就任して半年だと思うんですけど、テレビの世界で培ったものから、チームをこうしていきたいな、みたいなものはありますか?

 今 芸能界では事務所が積極的に、例えば「ビビるさんをどう売っていこう」とものすごく考えて、石を置いていくわけですよ。それと一緒に野球選手も「彼の個性を差別化してどう売り出すか」と考えなくちゃいけないと思うんです。社会的に認知いただけるよう、積極的に仕掛けていきたい。坂本君は今年、はごろもフーズさんのパスタのCMに出ることになりました。

 ビ キャプテン就任前、坂本選手にお会いした際に「テレビとか嫌ですか?」と聞いたら「嫌です!」と言っていたんです(笑い)。

 今 彼はキャプテンでもありますし、自分が率先してそういうことをやらなきゃいけないって自覚があるので、もう二つ返事でしたね。シーズン中の撮影にもかかわらず、「やらせてもらいます」と積極的でした。

 ビ 役割ができて、やっぱり変わったんですね。

 今 自覚ですよ。野球選手っていろんなことを経験していて、瞬時に反応できる対応能力がめちゃめちゃある。「君はこういう役割をここで演じてくれ」というと、ものすごいですから。才能にあふれた一部の人にしかできません。それは芸能人も野球選手も一緒。反射神経の良さとか、まるっきり一緒ですね。丸君には白鶴酒造さんの「まる」のCMが来ないかなと思っているんですよ。

 ビ そういう意味で僕は、岡本選手のすごさを野球界を超えて、もっといろんな人に知ってほしいんです。

 今 岡本和真はキャラクター的にも最高ですよ。この間も話をして。「おかもっちゃんは面白いから、オレさ、『がんばれ!タブチくん!』【注2】をやろうと思うんだよ」って言ったら「社長、タブチくんって何ですか?」って(笑い)。選手の田淵さんは聞いたことがあるけど、漫画は知らないって。

 ビ 世代的に分からないかもしれませんね(笑い)。

 今 「オレね、『それゆけ!おかもっちゃん』をやりたいんだよ」って言ったら、「エッ!?」って(笑い)。

 ビ いいですねえ。漫画やアニメになったら、「巨人軍の4番・サード岡本」が自然と子供たちの生活の中に入ってきますからね。

 今 巨人軍の4番って、半端ないプレッシャーがある。それも軽やかに超えていっている。本当はいっぱい苦労して、悩んでいるんですよ。敏感なのに鈍感を装っていると僕は思う。繊細ながらも「鈍感」という鎧(よろい)で…あれはすごいと思います。岡本和真、恐るべしですよ。

 ビ 巨人の4番は、お立ち台に立った時の言葉というのも大事ですよねえ。

 今 大事です。そこはちょっと不満なんですよ(笑い)。ヒーローインタビューって一つの発言によって価値がすごく上がったりするわけです。僕が野球中継を担当している時、巨人のヒーローインタビューのラフスケッチというか、「こう言ったら面白いんじゃないですか」と提案しようとしていたんです。その頃は「神聖なものに対してテレビマンが…」という感じがありましたけど、残念だったんですよ。せっかくみんなが見ているのに「そうっすね、そうっすね」って…。

 ビ あれはもったいないですよねえ。

 今 バーンとキャッチフレーズをきちんと言えたら、全く違ってくると思うんです。

 ビ その通りです。夜のスポーツニュースでは必ず扱いますし、翌日の新聞の紙面も飾れる。チャンスなんですよね、あの舞台は。

 今 さっき言ったように、選手にはものすごく対応力があるので。どんどんやるべきだと思いますよ。

 ビ そう考えると、岡本選手は「ジョニー・デップ」を封印【注3】したじゃないですか。

 今 あれはもったいないですよ(笑い)。

 ビ 社長から復活するようお願いしてください(笑い)。言っていただいた方が、ファンもうれしいんですよね。

 今 セルフ・プロデュースというのはすごく大事だと思うんですよね。

 ビ 今村社長は「ザ!鉄腕!DASH!」で「アイドルと農業」というミスマッチを楽しんだことで、成功につなげました。巨人でも今までにない「ミスマッチ」を、どんどん持ち込んでいただきたいと思います。

 今 感動の原点って、「驚き」だと思うんです。アッと言わせること。原監督はそれをすごく考えている。こう言ったらお客さんは楽しいだろうな、とか、絶えずエンターテインメントを意識してやられていますよね。それはすごいなと思います。

 ビ ここ数年、プロ野球選手がインタビューでも「なるべくヘンなことを言わないように」という意識が先行していると感じています。

 今 エンターテインメント業界として、一番マズいのは「無関心」なんですよ。いいことも悪いことも、言われてナンボだし、無視されたら嫌ですし。最近「アンチ巨人」という言葉を聞かなくなりましたが、アンチ巨人も巨人が気になる存在という意味では、一種の巨人ファンじゃないですか。

 ビ 他の球団には「アンチ〇〇」という言葉がないのに、巨人にはある。この素晴らしさですよね。

 今 だからジャイアンツをもう一度、どんなチームにしていくのか、どんなコンテンツにしていくのかを冷静に分析しながら、どういう要素が足りないのかを、周りの皆さんの提言も聞きながら一個一個積み上げて。少し時間はかかるかもしれないけど、勝つことと喜んでもらえること、愛されることをテーマに、選手たちとフロントが一体となってもう一度、ジャイアンツというブランドを作ろうと今、取り組んでいるところです。ジャイアンツの楽しさを、どんどん伝えていきたい。

 ビ 「楽しさ」という意味では今季、宮本コーチと元木コーチはMVP級の働きをしたのではないかと僕は思うんです。後編ではそのあたりを直撃しますよ~!

 【注1】15年1月、設立されたばかりの野球日本代表・侍ジャパン事業を手掛ける「NPBエンタープライズ」の社長に就任した。
 【注2】いしいひさいち氏作の4コマ漫画。阪神や西武で活躍した田淵幸一氏をモデルにしたタブチくんが主人公。79年に単行本3巻が刊行され、アニメ映画としても人気を博した。
 【注3】15年9月26日のヤクルト戦(東京D)でプロ初のお立ち台に臨んだルーキーの岡本は「奈良県から来ましたジョニー・デップです」とあいさつ。爆笑をもたらした。その後もミーティングでは「帰ってきた反町隆史です」などとギャグを披露していたが、18年から封印した。

 ◆今村 司(いまむら・つかさ)1960年5月10日、神奈川県生まれ。59歳。東大文学部を卒業後、85年4月に日本テレビ入社。スポーツ・情報局チーフプロデューサーとして巨人戦などのプロ野球中継を担当。「ザ!鉄腕!DASH!」では「DASH村」、制作局ドラマセンター長を務めていた際には「家政婦のミタ」などヒット企画を連発。15年1月には「NPBエンタープライズ」社長に就任。17年5月1日に日本テレビへ帰任し、執行役員事業局長を務めた。今年6月から球団社長兼編成本部長。

 ◆ビビる大木(びびる・おおき)本名・大木淳。1974年9月29日、埼玉・春日部市生まれ。45歳。テレビ東京系「SPORTSウォッチャー」や「家、ついて行ってイイですか?」のMCを務めるなど多方面で活躍。かすかべ親善大使、ジョン万次郎資料館名誉館長、高知県観光特使、萩ふるさと大使を務める。小1から大のG党。スポーツ報知では巨人コラム「ズバッとG論」を執筆。「月刊ジャイアンツ」でも「大木な巨人」を連載中。

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