阿炎が再認識した自覚 師匠にかけた迷惑は相撲で返す

阿炎
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 令和元年の大相撲を納める、九州場所。横綱・白鵬(34)=宮城野=が自身43度目の優勝で1年を締めた。振り返れば、今場所は初日を目前にして土俵の外がざわついた。話題の中心にいたのは、小結・阿炎(25)=錣山=。「新三役の名古屋から3場所連続勝ち越しに向け、絶好調!」。そんな明るい話ならよかったのだが…。

 11月初め、十両・若元春(26)=荒汐=の口などを粘着テープで巻いた姿を動画で撮影し、自身のSNSに投稿。ネットで拡散され、炎上した。遊びの中の行為とは言え、不適切な投稿。阿炎の師匠・錣山親方(元関脇・寺尾)は日本相撲協会に謝罪した。若元春も同様の動画を投稿しており、2人は協会から厳重注意を受け反省文を提出。阿炎は「師匠にまで迷惑をかけた。自覚が足りなかった。申し訳ないです」と反省した。しかし「関取なのに」「役力士なのに」と自覚のなさを批判する声がネット上にあふれた。

 もったいない…。ツイッターの阿炎へのバッシングを見て、残念でならなかった。今年は九州まで全場所勝ち越しと、存在感を発揮。新三役もつかんだ。場所前の取材では、その「自覚」を私自身、認識することがあったからだ。

 9月に、阿炎が千葉・鴨川市から感謝状を受け取ったと関係者から聞いた。阿炎は台風15号の被害が大きかった同市に後援者の知人が住んでいると知り、ブルーシートやおむつ、乾電池など約30万円分を贈り、支援したという。「そういうことが俺たちには出来るから。出来るんだったらやる」と阿炎。秋場所中で直接届けに行くことはできなかったが、後援者らの協力で、物資は現地まで運ばれた。

 その言動からは、役力士としての自覚が垣間見えた。八角理事長(元横綱・北勝海)からは「土俵で目立ちなさい」とゲキを飛ばされた。自ら招いた失態とはいえ、九州場所での精神的な影響が懸念された。そんな中、2大関を破って9勝。幕内では唯一、今年の6場所全てで勝ち越しを決めた。

 初日の取組後、「失った信用は取り戻すのに時間がかかると思うけど、見てもらって、とにかく今は頑張って相撲を取る」と話した。失敗を認め、相撲での挽回を誓い、そして一つの結果を残した。

 年間最多勝を争った小結・朝乃山(高砂)が今場所11勝を挙げ勝ち星では上回られたが、来場所関脇に昇進すれば、番付上は師匠に並ぶ。元寺尾は、回転の速いの突っ張りで通算金星7個の名関脇。誰よりも尊敬し、千秋楽の取組後は「師匠を超えることが、1番の夢なので」と話した。支度部屋から引き揚げる際、聞き間違えでなければ、「もう25歳なので…」と言った。遅いと言われても、再認識した自覚。師匠にかけた迷惑は、相撲で返すしかない。(大谷 翔太)

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