新幹線3人殺傷事件初公判 小島一朗被告「見事に殺しきりました」

傍聴券を求めて並ぶ人たち
傍聴券を求めて並ぶ人たち

 東海道新幹線で昨年6月、乗客の男女3人が殺傷された事件で、殺人や殺人未遂の罪に問われた無職・小島一朗被告(23)は28日、横浜地裁小田原支部(佐脇有紀裁判長)の裁判員裁判の初公判で「間違いありません。殺すつもりでやりました」と述べ、起訴内容を認めた。検察側は重傷を負った女性2人の「厳罰に処してほしい」との調書を読み上げた。論告求刑公判は12月9日、判決は同18日に言い渡される予定。

 「通路にいた人を殺そうとして、見事に殺しきりました」。男性1人を殺害したことについて、小島被告は真っすぐ前を見つめ、自画自賛するようによく通る声で話した。

 「失礼します」。開廷が遅れ、午前10時50分ごろ、ゆっくりとした足取りで法廷に入った小島被告は、髪を短く刈り込み眼鏡をかけ、上下灰色のスエット姿。検察官が起訴状を朗読した際には、傍聴席や裁判員席を見渡し、表情を変えることはなかった。重傷を負った2人の女性については「残念ながら、殺し損ないました」と述べた。

 裁判長から住所を問われた小島被告は「半年ほどホームレスをしていました」と答えた。捜査段階では「一生刑務所に入りたかった」と供述。検察官が裁判員に「ふさわしい刑罰を決めてほしい」と発言すると、小島被告は深くうなずいた。検察官が押収したナイフを示し「要りませんね」と尋ねると、「もし有期刑になって出所してまた人を殺す羽目になったら、新しい物を買うので要りません」と語った。

 検察側は証拠調べで、被害女性2人の調書を朗読。2人は事件後、公共交通機関に乗ることが怖くなったといい、「一生、新幹線に乗ることはできないと思う」との言葉もあった。小島被告については「許せない。二度と外に出てほしくない」と訴えた。弁護側は「事実関係に争いはない」としたうえで、動機については被告人質問で明らかにするとした。

 検察側の冒頭陳述によると、小島被告は両親との関係が良好と言えず、就職先もストレスを理由に退職し、祖母と同居を開始。2017年12月に愛知県岡崎市の祖母宅を出た後、長野県内の公園などで寝泊まりするようになった。検察側は、いつしか「社会で一人で生きていくのは難しく、刑務所に入りたい」と思うようになり、祖母からの帰宅を促す電話を誤解して犯行を決意したと述べた。

 起訴状によると、18年6月9日午後9時45分ごろ、新横浜―小田原間を走行中の東京発新大阪行きのぞみ265号(16両編成)の12号車で、20代の女性2人をなたで襲って重傷を負わせ、止めに入った兵庫県尼崎市の会社員・梅田耕太郎さん(当時38歳)の首や太ももをなたとナイフで切り付け殺害した。

 4か月間の鑑定留置を経て横浜地検小田原支部は18年11月、刑事責任能力に影響ないと判断し起訴した。

 ◆JR各社、五輪控え所持品検査の導入も

 事件をきっかけにJR東海など新幹線を運行する各社は安全対策の強化を進めた。新幹線の車内には、暴漢から身を守る防護盾や耐刃ベストなどの護身用具や医療器具の配備が急速に拡大した。警察官や警備員の巡回も強化。東海道新幹線では全列車のほぼ全区間に警備員が添乗するようになった。

 異常事態が発生した場合、すぐに把握できるよう防犯カメラを増設する動きも進む。カメラをネットワーク化して、指令などで駅や車内の状況を監視し、乗務員と指令が同時に通話できるシステムも導入された。

 鉄道に所持品検査を導入する動きも浮上した。国土交通省は、2020年東京五輪・パラリンピックに向けたテロ対策の強化のため東京都心の駅で、衣服に隠し持った危険物を検知できる「ボディースキャナー」のテストを実施。12月には東京駅の新幹線改札に爆発物探知犬を配備する予定だ。

 JR東海の金子慎社長は「今後も緊張感を持ち、新しい技術があれば取り入れる」として、再発防止策を徹底する考えを示している。

社会

報知ブログ(最新更新分)

一覧へ
NEWS読売・報知 モバイルGIANTS ショップ報知 マガジン報知 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真販売 法人向け紙面・写真使用申請