【報知映画賞】小松菜奈、新人賞から史上最速5年で助演女優賞「成長が認められた」

スポーツ報知
モデルとしても同世代から支持を集める小松菜奈(カメラ・小泉 洋樹)

 今年の映画賞レースの幕開けを飾る「第44回報知映画賞」の各賞が27日、発表された。助演女優賞は14年新人賞の小松菜奈(23)が受賞した。新人賞からわずか5年での俳優賞受賞は史上最速となった。助演男優賞は「愛がなんだ」「さよならくちびる」などの成田凌(26)が受賞。アニメ作品賞には新海誠監督(46)の大ヒット作「天気の子」、特別賞にはカルト的な人気で話題になった「翔んで埼玉」が選ばれた。表彰式は12月中旬に都内で行われる。

 新人賞からわずか5年。小松は変幻自在の表現力を持つ“映画女優”に進化を遂げていた。「新人賞の時は周囲に追いつくのに必死で、まだぼやっとしてました。だから、この賞は役へのアプローチとか成長してきたものが認められた気がしてます。自分の中に残るものができた。これからも頑張れる力になりました」

 「来る」は、霊媒師の家系に生まれたキャバクラ嬢という「不思議な役柄」。新人賞を獲得したデビュー作「渇き。」で、モデルから女優への扉を開いてくれた恩師・中島哲也監督との久々の仕事だった。「正直怖かった。4年間で成長した部分を見せないと、という変な緊張感があった」。厳しい言葉で指導する鬼監督ぶりは相変わらずだったが、5年前と違い、臆さず意見できる自分がいた。「他にやりたいことがあればいつでも辞めれば?と言われた時に、『まだまだ女優をやりたいです』とはっきり言えた。そしたら『覚悟ができたな』って言ってもらえた。自分でもそう言えたことにびっくりした」

 性暴力で負ったトラウマを乗り越えようとする少女を演じた「閉鎖病棟―」は、「とても挑戦的で勇気がいりましたが、やらない選択肢はなかった」。暴力を受ける壮絶なシーンは「純粋に怖いってことを表現して子どものように泣きました。入り込みすぎて過呼吸になりました」。平山秀幸監督からは「感情の配分」を教わった。「リハーサルから全部出し切っちゃうタイプですが、感情をコントロールすることを学びました」

 モデルにあこがれて事務所に入ったが、「渇き。」で洗礼を受けて以来、仕事の軸足は映画に置いている。「映画を愛してる人、熱い人が多くて、現場の濃さが好きなんです」。過激な作品も恋愛ものも幅広い役柄に取り組んできた。「役をやってると、いい意味で人生が彫られていく。自分はすごく独特の道を行っていると思いますが、もっと濃くなりたい」

 巨匠マーティン・スコセッシ監督の「沈黙―サイレンス―」(17年)では「自分の意見がないと話にならない。もっと野心を持たなきゃと思いました」。海外の流儀も味わいつつ、日本映画を盛り上げるという強い信念もできた。「いい作品がたくさんあるのに、どうやったらもっと(海外にも)出て行けるか。そこを変えていけたら」。クールな外見の奥底には熱い映画愛がたぎっている。(高橋 誠司)

 ◆小松 菜奈(こまつ・なな)1996年2月16日、東京都生まれ。23歳。2008年から「ニコ☆プチ」のモデルを務め、14年公開の映画「渇き。」で本格女優デビュー。映画「溺れるナイフ」(16年)、「恋は雨上がりのように」(18年)に主演。今年5月公開の映画「さよならくちびる」では主演女優賞にもノミネートされた。来年4月に菅田将暉とのダブル主演映画「糸」が公開される。趣味はカメラ、特技はダンス。血液型O。

 ▼助演女優賞 松原智恵子、MEGUMI、斉藤由貴の熱演も高評価だったが、1回目の投票で小松と松原に票が分かれ、決選投票で小松が過半数を集めた。「イノセントと魔性。天性の女優だ」(見城)、「どの作品も非常に演じ分けられていてよかった」(YOU)。

 ◆来る(中島哲也監督) 妻(黒木華)と娘の3人暮らしのサラリーマン・田原(妻夫木聡)は怪奇現象に悩まされ、オカルトライター野崎(岡田准一)の元を訪れる。野崎は霊媒師の家に生まれたキャバクラ嬢・真琴(小松)とともに解決に乗り出す。

 ◆閉鎖病棟―それぞれの朝―(平山秀幸監督) 長野県のとある精神科病院が舞台。死刑執行が失敗し生きながらえた秀丸(笑福亭鶴瓶)、幻聴に悩まされるチュウさん(綾野剛)、DVが原因で入院する由紀(小松)は心を通い合わせていくが、ある日、過酷な事件が起こる。

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