今オフ巨人の最も大事な補強!?石井琢朗コーチにみたコーチ職の原点 

石井琢朗1軍野手総合コーチ(左)が提案した小さい穴あきボールを使う独自のティー打撃に取り組んだ岡本和真(左奥から湯浅大、村上海斗、田中俊太、若林晃弘)(カメラ・泉 貫太)
石井琢朗1軍野手総合コーチ(左)が提案した小さい穴あきボールを使う独自のティー打撃に取り組んだ岡本和真(左奥から湯浅大、村上海斗、田中俊太、若林晃弘)(カメラ・泉 貫太)
試合後にサインミスを自己申告し、高山竜太朗(右)とポール間走を行った石井琢朗1軍野手総合コーチ(カメラ・泉 貫太)
試合後にサインミスを自己申告し、高山竜太朗(右)とポール間走を行った石井琢朗1軍野手総合コーチ(カメラ・泉 貫太)

 2019年のセ・リーグを制した巨人が19日、今月6日から約2週間に渡って行ってきた秋季キャンプを打ち上げた。日本シリーズでソフトバンクに4連敗を喫した後、コーチ陣を一部入れ替え新体制で臨んだ秋の宮崎。担当カメラマンとして全日程に帯同した私を初日から慌てさせたのは、ヤクルトから移籍してきた石井琢朗1軍野手総合コーチの動きだった。

 キャンプ初日の6日。サンマリンスタジアムでの打撃練習がスタートすると、琢朗コーチはさっそく自らバットを手にし、若手選手を前にティー打撃を敢行した。現役時代に2000本安打も達成したスムーズなスイングは49歳となった今でも健在。身ぶり手ぶりを交えて手本を示した。その後はトス役となり、膝元の低さや顔付近の高さへスピーディーにリズムよくボールを投げ続けた。参加選手の打撃が一巡すると、次は見慣れない黄色く大きなボールがかごに乗って登場した。ソフトボールだ。今度はそれを使って先ほどと同じように高いトスや低いトスを上げた。新任コーチによるアイデア満載の練習初日。「これは原稿になりそうだ」。夢中でシャッターを切った。

 3巡目も打っていたのは黄色いボール。「使うボールは2種類なのか」と思っていると、今度の黄色いボールは全然飛んでいない。しかもファインダー越しによく見ると、明らかに先ほどのボールより小さい。たまたま足元に転がってきたそのボールを拾ってみると、同じ黄色でも、たくさんの穴が開いたプラスチック製。どおりでフルスイングでも飛ばないはずだ。結局ティーは5種類に及んだ。1組目でこの練習に当たった岡本和真はすべてが終わった途端、倒れこんだ。打撃に関しては、翌日以降もゴムで引っ張られながらのティー打撃やロングティーも導入。毎日異なる選手を飽きさせない練習を導入した。

 初日はひと仕事終わったと思っていたのもつかの間、琢朗コーチの動きはこれで終わらなかった。今度は午後に特打する選手のため、バットをボールに持ち替えてマウンドに登場。ケージに入った若手選手に向かって大きな声を出しながら打撃投手を務めた。実は琢朗コーチ、ドラフト時は投手。しかも1勝しており、勝ち星を挙げながら2000安打も達成したのはあの「打撃の神様」川上哲治氏以来とか。というわけで投球は山なりながらもコントロールは昔取ったきねづか。投げながら、会ったばかりの若手選手たちの得意ゾーン、不得意ゾーンを探り当ててみせ、各選手たちのクセ、特徴を頭にインプットした。1時間以上投げまくったあとの締めは、コーチ自ら「如意棒」と名付けた長い棒で素振りしながら利き手と逆振りでポール間を往復。いつの間にか日は西に傾いていた。

 琢朗コーチがほかのコーチと違ったのは、約1時間近くノックを打ったかと思えば、打撃投手として投げて…を連日繰り返したこと。キャンプ中盤からはアップの後に走塁の指導もスタート。二塁を直角に回って走る姿には、元木ヘッドや古城茂幸・1軍内野守備走塁コーチも興味深げに見入っていた。打って、投げて、走って。その姿をファインダー越しに逐一追いかけながら、その体力には本当に心底驚かされた。あげくの果てには、14日ソフトバンクとの練習試合に敗れた後に自らサインミスを自己申告して高山竜太朗と一緒に罰走。手抜きなしのポール間往復には、元木大介・1軍ヘッドも苦笑いを浮かべた。

 選手と常にともに…。セイバーメトリクスに代表されるように、コーチ職にもコンピューターを駆使したデータ分析やフォーム解析の比重が増している昨今。今秋の琢朗コーチの姿には、コーチ職の原点を思い出させてくれた。FA宣言した楽天・美馬にもロッテの鈴木大地にも入団を断られたこのオフの補強戦線。昨シーズン、原辰徳監督の復帰が優勝への最大にして最高の一手だったように、連覇への最も大事な補強はすでに終わっているのかもしれない。(記者コラム・泉 貫太)

石井琢朗1軍野手総合コーチ(左)が提案した小さい穴あきボールを使う独自のティー打撃に取り組んだ岡本和真(左奥から湯浅大、村上海斗、田中俊太、若林晃弘)(カメラ・泉 貫太)
試合後にサインミスを自己申告し、高山竜太朗(右)とポール間走を行った石井琢朗1軍野手総合コーチ(カメラ・泉 貫太)
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