阿部詩、決勝でまさか 五輪内定スルリ「甘さが出た」

女子52キロ級の決勝で敗れ、五輪出場の切符を逃し涙を流す阿部詩(カメラ・相川 和寛)
女子52キロ級の決勝で敗れ、五輪出場の切符を逃し涙を流す阿部詩(カメラ・相川 和寛)

◆柔道 グランドスラム大阪大会 第1日(22日・丸善インテックアリーナ大阪)

 男子66キロ級で17、18年世界王者の阿部一二三(22)=日体大=が2年ぶりの優勝を飾り、20年東京五輪代表に望みをつないだ。決勝で今夏の世界選手権優勝の丸山城志郎(26)=ミキハウス=を下し、内定を阻止した。女子52キロ級で世界選手権V2の妹・詩(うた、19)=日体大=は決勝でブシャール(フランス)に敗戦。シニアの国際大会で初めて海外選手に屈し、今大会での五輪代表内定を逃した。

 涙が止まらなかった。阿部詩はフランスのブシャールとの決勝。7分40秒で一瞬の隙を突かれ、肩車を食らった。試合直前には男子66キロ級で背水の陣だった兄の一二三が優勝。「さすがお兄ちゃん。覚悟が決まって、自分もやってやろうと思った」。だが、まさかの敗戦に畳を降りると「優勝できない自分に情けなさと悔しい思いでいっぱい。甘さが出た」と号泣した。

 16年12月の国際大会デビュー以来、海外選手には無敗を誇ってきたが、48連勝でストップ。17年のGPデュッセルドルフ大会から続く国際大会の連勝も9で止まった。今夏の世界選手権では、初対戦した16年リオ五輪女王のケルメンディ(コソボ)を下して2連覇し、今大会で勝てば五輪代表内定が濃厚だった。3回戦ではわずか5秒で内股で一本勝ちを決めるなど、盤石の強さを見せていたが「(内定は)あまり考えないようにしていたけど、決勝前には頭によぎることもあった。五輪のレースはこんなにも過酷なんだ」。無敵の19歳も重圧とは無縁ではなかった。

 海外勢の対策も痛感させられた。ブシャールを擁するフランスは動きの角度や傾向まで細かく分析していたという。関係者を通じてその事実を知った詩も「すごい分析の仕方だった。五輪までそういう細かいところまでギアを上げてくるんだと、ちょっとゾクッとした」。警戒はしていたが、得意の内股も受け止められ「やりにくさはすごくあった。今までと同じ感覚でやっていてはいけない」と厳しい表情で振り返った。

 ただ、これまで積み上げてきた実績は圧倒的だ。準決勝では代表を争う志々目愛から一本勝ち。全日本女子の増地克之監督も「今回の負けでアドバンテージが消えるわけではない」と言い切った。「神様からの試練。五輪で優勝するためにこういう悔しい思いがあるんだと思いながら、前に進んでいきたい」。悔しさを糧に、再び東京五輪へ勝ち続ける。(林 直史)

 ◆阿部詩に外国人勝利1号 ブシャール「光栄」

 阿部詩に外国人選手として初めて土を付けたブシャールは「阿部選手は前と同じ。自分のアプローチが変わっただけ。彼女が初めて負けた相手が私とは光栄。緊張していて、少し焦っていたようだ」。フランスの強豪が出場を控える中、「阿部選手と戦いたかった」と果敢に挑んでの成果だけに声も弾んだ。データを徹底的に分析して対策を続けたという情報もあるが「特にそんなことはしていない」と24歳の新女王はけむに巻いていた。

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