柴崎岳になぜこだわるのか 屈辱の45分間で大島僚太ら大きなチャンス…担当記者が読み解く

欧州へ向け出発した柴崎
欧州へ向け出発した柴崎

 19日の親善試合でベネズエラに1―4と大敗した日本代表は20日に解散し、欧州組の選手は離日した。14日のW杯2次予選キルギス戦は勝利したが、U―22日本代表を率いた17日のU―22コロンビア戦は0―2で完敗。3試合で1勝2敗に終わった森保一監督(51)は、昨年7月の就任後初の逆風にさらされている。A代表ではMF柴崎岳(27)=デポルティボ=を中心に起用。所属クラブで出場機会が少ない司令塔に、なぜこだわるのか。金川誉記者が「読み解く」。

 悲惨な前半の45分間によって、ベネズエラ戦はある意味で盛り上がりを見せた。U―22、A代表で連敗した森保監督の手腕に疑問の声がネットを中心に浮上。話題の一つとなっているのが、所属クラブで出場機会の少ない柴崎を、25試合中19試合で先発起用し続けていることだ。

 ベネズエラ戦後、柴崎は「全責任は僕にあると思っています」と語った。ピッチ中央でプレーするボランチとして、周囲を動かす修正力は物足りなかった。ロシアW杯では16強進出の立役者になったが、昨季はスペイン1部のヘタフェでリーグ戦出場7試合。今季は同2部のデポルティボで直近3試合出場なし。代表でも結果が出なければ、他の選手に代えられてしかるべきだ。

 森保監督はキルギス戦前、柴崎にこだわる理由を約10分間にわたって明かしていた。1つ目は「戦術理解度が高く、それを具現化できる選手であること」。2つ目は「ロシアW杯であれだけやれた。評価は世界の中でトップの基準で示してくれていた」こと。「我々の評価の中で、岳より上の選手が出てきたら代える」とした上で、出場機会に恵まれていなくても「代表で試合に出ることがいいパフォーマンスにつながり、チームでポジションをとってもらえる。基本的には試合に出ている選手、という考えは持ちつつ、総合的に見ていい選手は我慢強く使っていく」と話した。

 問題は、指揮官の中で柴崎以上の人材がいないこと。海外組が招集されない12月の東アジアE―1選手権(韓国)で出場機会を得るであろう川崎MF大島僚太らは大きなチャンスと言える。一方で柴崎は、今回の代表で出た課題に向き合うはず。層の薄い司令塔タイプのボランチ競争が、この大敗をきっかけに激化していくのなら、屈辱の45分間も無駄ではなかったと思える。

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