生涯ギラギラ!元“中年の星”山本博先生

山本博
山本博

 自分を律し、競技を愛し、人生をささげてきた選手の話は面白い。特にマイナーといわれる競技で「顔」としての役割を担う人たち。馬術なら法華津寛、飛び込みの寺内健。実体験を通しての言葉には深みがある。アーチェリーで84年ロサンゼルス五輪銅、04年アテネ五輪銀メダルの山本博もその一人だ。

 北京、ロンドン、リオデジャネイロと3大会連続で代表から落選しながら挑戦を続けてきた。11度目の選考会となった東京は1次で敗退した。「どこだろうと五輪にアーチェリー競技が存在する限り、あの舞台に戻りたい」。まさに不屈。57歳の意欲は衰えていない。

 41歳だったアテネで“中年の星”になった。あれから15年。レーシック(視力矯正)は2度施術し、首と腰にヘルニアを抱える。理想の動きに体が追いつかない日々にも、下を向くことはない。「大事なのは明日(弓を)打つ気になるかってこと。その気持ちがある限り60歳でも70歳でもやる」。日に焼けた顔には生気が宿っていた。

 山本は「アーチェリーは心の格闘技」と説いた。70メートル先の的と対峙(たいじ)する時、わずかな心身のブレも許されない。数日間続いた胃の痛みから、試合後にようやく解放されたという。「あんな成績だって、試合が終わるまでずっと痛い。いくつになっても、こういうのはずっと来るんだなって」。苦笑いながら、競技者にしか味わえない緊張感を満喫しているようにも見えた。

 アーチェリー同様、教授としての仕事を愛してやまない。授業を「自分のステージ」と称する。「最高のステージを演出することで学生がスポーツは楽しいと思ってくれたら」。考え方一つ。新鮮な日常を作り上げる感性はさすがだ。「60でも70でも仕事を一生懸命に頑張っている方がいる。自分より年上でギラギラして輝いている人に会うとうれしい。僕もそういう人になりたい」。生涯ギラギラが似合う山本先生から、明日への活力をもらった。(記者コラム・高木 恵)

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