元日SPで帰ってくる「きのう何食べた?」…テレ東を救った最強“飯テロドラマ”の魅力

「きのう何食べた?」でゲイ・カップルを演じた内野聖陽(左)と西島秀俊。大ヒット作が来年元旦、SPドラマとして帰ってくる
「きのう何食べた?」でゲイ・カップルを演じた内野聖陽(左)と西島秀俊。大ヒット作が来年元旦、SPドラマとして帰ってくる
深夜ドラマの域を超えた人気を呼び、来年元旦のSPドラマ放送も決まった「きのう何食べた?」で勝負をかけるテレビ東京
深夜ドラマの域を超えた人気を呼び、来年元旦のSPドラマ放送も決まった「きのう何食べた?」で勝負をかけるテレビ東京

 しみじみと感慨深い―。原作コミックの段階から夢中で追いかけてきたドラマが、ついに民放キー局の「新年の顔」になる。

 14日、テレビ東京が今年の大みそかから来年1月2日まで3夜連続でグルメ系ドラマを放送することが発表された。31日に「孤独のグルメ」、1日は「きのう何食べた?」、2日は「忘却のサチコ」をオンエアする(3作とも放送時間は未定)。

 「孤独―」は言わずと知れた松重豊(56)主演の超人気シリーズ。高畑充希(27)主演の「忘却―」も昨年10月期に話題を呼んだ。いずれも深夜に放送され、暴力的なまでに食欲をそそる「飯テロドラマ」としてヒット作となった。

 中でも発表直後から「やっと…。待ってました!」「元旦早々、シロさんとケンジに会える~。うれし過ぎ!」「このままシーズン2に突入して欲しい」などなど、ネット上でケタ違いの数の喜びの声があふれたのが、西島秀俊(48)と内野聖陽(51)のW主演ドラマ「きのう何食べた?」だった。

 今年4月期に3か月にわたって放送された同ドラマ。「大奥」などで知られるよしながふみさんの累計500万部突破の人気コミックが原作。2LDKのマンションで月2万5000円の食費で暮らす弁護士のシロさんこと筧史郎(西島)と美容師のケンジこと矢吹賢二(内野)というアラフォーのゲイ・カップルの日常を淡々と描く作品は全話平均視聴率でも深夜枠としては異例の3%台を連発。6月28日放送の最終回でも同作最高となる平均視聴率3・7%で有終の美を飾った。

 北海道地区では6%超も記録するヒット(数字はビデオリサーチ調べ)となり、TVerやGYAO!などの広告付き動画配信の再生回数では4月クールの民放全テレビ番組の中で堂々トップに。同局史上初めて全12話の再生回数が全て100万回超え。全再生回数も同局のドラマ史上最高の数字をたたき出した。

 3か月間の放送中も「フィーバー」としか言いようのない様々な出来事があった。

 第1話放送直後には「きのう何食べた?」がツイッターの世界トレンド1位に。第5話でケンジが袋ラーメン「サッポロ一番」を加工、絶品メニューに昇華させたエピソードの放送直後にはドラマに登場した「サッポロ一番みそ味」が売り切れとなる社会現象まで起きた。

 第8話の最後に「来週の放送はテニス全仏オープン放送のため休止します」というテロップが流れたとたん、番組ツイッターに「来週休止…。この世の絶望を見た」「マジか…。来週1週間、何を楽しみに働いたらいいのか」という視聴者からの悲嘆の声があふれたことまであった。

 舞台セットの再現や使用された小道具、名シーンの場面写真や原作コミックの複製原画などを展示した「きのう何食べた?」展も6月から9月にかけて東京、大阪、名古屋で開かれ、30分入れ替え制だったにも関わらず、大人気だった。

 私も2007年11月、よしながさんの原作コミック1巻が発売されて以来の家族ぐるみのファン。映像化を心待ちにしてきただけに、もちろん第1話からリアルタイム視聴。毎月1回行われるテレ東・小孫茂社長(68)の定例会見で「何食べ」に関する質問を繰り返してきた。

 思えば、小孫社長は最終回放送直後の7月の定例会見でも「続編制作の実現性は?」という質問に「(続編希望という)視聴者の皆さんの声は私にも届いております。もちろん関係者にも届いていると思っております。どこの時期になるかは分かりませんが、必ず実現したいと思っています」と断言していた。

 その言葉を聞いた瞬間、私はヒットの要因として誰もが上げる「ドラマ史上最高のキャスティング」とされる西島、内野のそろい踏み、原作者のよしながさんも大満足とされる、このキャストを再び集められるのかと疑問を持ったから、こんな質問をしてみた。

 「社長がそこまで言うからには続編制作は実現すると思います。ただ、西島さん、内野さんらのスケジュールを押さえられるのか? 何年越しのオファーが必要な俳優たちに対して、すでに出演オファーなどの動きは開始されているのか」―

 その時、確かにニヤリと笑った小孫社長は「されていなければ、社長ごときが願望を記者会見で言うわけには行きませんので…。その辺も踏まえて、私は発言しているつもりでございます」と、こちらを見つめてきっぱり答えていた。

 同社長もドラマ化前からの原作ファンだったことを明かしていた。この日も「私自身が全国で5本の指に入る視聴者側のファンだと思っています」とほほ笑んだ上で「ちょっと願望が行き過ぎている面は差し引いて受け止めていただけるとありがたいのですが、やるべき行動は担当の方で取っていると聞いております。ただ、先方さんのご希望もありますので」と具体的に制作に乗り出していることまで明かしていた。

 思えば、小孫社長は4月の会見でも、しみじみと口にしていた。「こういうセンスがテレビ東京を支えていくんだな」―。そう、西島、内野の絶妙のキャスティングに、誰もが幸せな気分になるオープニングとエンディングの音楽。「飯テロ」とまで言われた主人公2人がつくるおいしそうな料理の数々。さらに偏見の目で見られるゲイ・カップルの日常を美化するでもなく、へりくだるわけでもなく、淡々と描いた脚本の力。「何食べ」には、ヒットするための数々の魅力が確かにあふれていた。

 今回のSP放送にあたって、「かわいくて、乙女チックな中年ゲイ」ケンジ役で新境地を開き、大ヒットの主役となった内野が発表したコメントがある。

 「ゲイカップルの優しい日常生活をおいしそうに描くという、この一風変わった作品が世間の皆さまの評価をいただいたということは、自分の予想を超えてとてもうれしいです。この作品がまだ続くであろうことは僕ら2人もそれなりの覚悟をしていましたので、そのご期待に対してどう向き合っていくのか、これから西島さんはじめスタッフさんとも話し合っていくところです。何しろ僕も西島さんもこの作品世界がとても気に入っていますので」―。

 演じるトップ俳優にまで「この作品世界がとても気に入っています」と言わせてしまう魅力が「何食べ」にはあふれている。

 12月23日には最新刊となる原作コミック16巻も発売される予定だ。誰もを幸せにする「何食べ」の続編は内野の言葉を借りれば、これからも「まだ続く」。何かと世知辛い世の中だ。こんなドラマが、ほっこりと視聴者の胸を温め続けてもいい―。私は、心の底からそう思っている。(記者コラム・中村 健吾)

「きのう何食べた?」でゲイ・カップルを演じた内野聖陽(左)と西島秀俊。大ヒット作が来年元旦、SPドラマとして帰ってくる
深夜ドラマの域を超えた人気を呼び、来年元旦のSPドラマ放送も決まった「きのう何食べた?」で勝負をかけるテレビ東京
すべての写真を見る 2枚

コラムでHo!とは?
 スポーツ報知のwebサイト限定コラムです。最前線で取材する記者が、紙面では書き切れなかった裏話や、今話題となっている旬な出来事を深く掘り下げてお届けします。皆さんを「ほーっ!」とうならせるようなコラムを目指して日々配信しますので、どうぞお楽しみください。

芸能

宝塚歌劇特集

報知ブログ(最新更新分)

一覧へ
NEWS読売・報知 モバイルGIANTS ショップ報知 マガジン報知 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真販売 法人向け紙面・写真使用申請